不動産会社がそろそろ本気で取り組むべき人材採用と育成

 年明けから3月にかけて、不動産会社は繁忙期になる。仲介業はこの時期に、その年の売上が決まるといっても過言ではない所謂天王山のような時期だ。
 どの企業も、集客、追客、接客、そして案内から契約まで全員が一丸となり取り組んでいく。勿論、結果が良い企業もあれば、あまり良くない企業もあるだろう。しかしいずれにしても、働いている従業員のかたは、全力を尽くしているのは間違いない。

 この数年、不動産会社の人手不足感は、とても強くなっている。とはいえ、この業界は何年も前からずっと人手不足感が漂っていた。数十年前から常に「人が足りない」「人が育たない」この声が無くなったことはないと思う。これは当然といえば当然で、営業色が強く、人に依存している業種なので、少なからず人材の新陳代謝があることは当然といえば当然だ。
 しかしながら、ここ最近は、この新陳代謝すらも危うい状況になっている。理由としては、世の中の人手不足、そして労働市場の変化があるだろう。

 正直言って、不動産業(特に賃貸業界)の人気はかなり低い。そして今だに前時代的なパワハラが横行している業界でもある。誰が好き好んでわざわざその業界に飛び込むだろうか。当然、仕事が見つからない時代であれば、それでも採用は容易にできたかもしれないが、現在はそれがより一層困難になっている。
 
 またいくら業務効率化が図られているといっても、まだ人手不足を解消されるほど、業務効率化のツールや商材は開発されていない。
 人手不足のスピードと危機感のほうが業務効率化の浸透を上回っているのだろう。そしてそれはスグには埋まらない溝だと思う。

 昔のような新陳代謝を繰り返す時代ではなくなったからこそ、人材採用と人材育成を徹底することは、不動産会社にとって必須の問題だ。

 採用に関しては、まず企業の色をどのように世間に打ち出ししていくのか。それは企業のビジョンや戦略、そして事業の魅力をどれたけユーザーに伝えていくのかを考えいかなければいけない。
 そして育成制度も真剣に取り組まなければいけない。それは営業ノウハウを教えるだけではなく、最初から幹部候補として不動産事業の全体像を教えていかなければいけない。
 賃貸仲介業でも、少なくても宅建に受かるぐらいの知識は付けておかなければいけない。そしてマネジメントのノウハウや重要性をかなり早い段階から、どんどん伝えていかなければいけないだろう。
 人が足りない→現場にすぐに出す、というのは確かに致し方ないかもしれないが、育成も経営層が本気になれば現場の仕事と併用できる筈だ。

 業務効率化が図られ人手不足が解消されるのは、まだ数年、もしかしたら10年以上さきの話かもしれない。外注を使ったり、業務効率化を図りながら、各企業は採用と育成に本気で取り組んでいかなけなければいけないだろう。