不動産会社に入社した新人が最初に覚えるべきこと

 現在、人手不足のため、どの企業も採用には苦戦している。そのなかでも不動産会社に入社し、営業をバリバリやり、成果を残していく人材は稀有なケースかもしれない。
 もちろん、新人の入社動機は様々あり、割とストレートな金銭面の充実から、親の事業を継ぎたい、または建物自体が好きな人など、いろいろな動機がある。
  
 企業の新人研修も当然、どの企業も力を入れている。現在の採用困難な状況を考えると、しっかりとした研修を行い、チームのメンバーとして定着させることは重要だ。

 しかしそうは言いながら、企業側の思惑と、不動産会社に入社する新人の意識は、違う。
 新人は、企業が思っている以上になるべく早く成果を残したい。
 
 そこで早めに成果を上げる、という一点に絞り、入社した新人が身につけるべきスキルを伝えたい。下記の項目を抑えていけば、ある程度の成果は達成できると思う。

 勿論、企業側はビジョンを語り、マインドセットを図り、ケアしていくことが大前提になるが。
不動産取引の概要を頭に入れる
 実を言うと、意外に、不動産取引の基本的な流れを教えない企業が多い。まず土地があり、そこに何故建物を建てるのかを理解し、そして建物構造はどのような種類があり、登記簿にどう登録されるのか、を理解する。そして仮に賃貸物件であれば、大家とはどういう動機で物件を貸すのか。更に契約にはどのような書類が必要なのか。もっといえば原状回復義務や、税金もある程度頭に入れておきたい。
 このように不動産の概要を身につけるのは、当たり前のように感じるかもしれないが、実を言うとほとんどの不動産会社はその研修を行なっていない。
 入社していきなり電話機とリストを渡され、荷電をし続けたり、はたまた図面を渡され、物件入力を初日からさせることは、とても非効率だ。

自社商品を徹底的に覚える
 仮に自社管理物件を保有している企業に就職したならば、少なくとも対象エリアの物件は全て見ないといけない。物件イコール商品のため、細かい物件の特性や状況を把握する。
 そうすることで、仮にユーザーから質問があっても、少なからず自社の商品を伝えることができる。

 覚えていく物件数とエリアを数値化する
 まず半年程度の時間で、どれだけの物件数、取引会社数、そしてエリアを覚えるかを数値化し、それを月毎に追っていく。たとえば毎月100件の物件、50社、4つの区、というようにKPIを設定し、記憶していく。これを行うことで、「現場でなんとなく覚える」というところから、体系的に覚えていく、という状態に変わる。

会社のどこに何があるのか、何の書類がどこにあるかを覚える
 あの書類はどこにあるのか?あのファイルはどこにあるのか?また入力しなければいけないシステムはなんなのか?このような瑣末なことは、たいした問題ではないかもしれない。しかし、どこに何があるかわからないということは、新人にとってはかなり大きい問題だ。それは想像以上のストレスを感じてしまう。社内の書類、ファイルのあり方をまず覚えてしまうことで、生産性は圧倒的に向上する。

ビジネスマナーを身につける
 経歴や年齢によるかもしれないが、最低限のビジネスマナーを身につけることは、重要だ。営業力の前にビジネスマナー、である。もっといえば、営業力のツールのひとつとして、ビジネスマナーが上げられる。

営業力向上の本を10冊程度読む
 最後の仕上げとして、営業力向上をテーマにした本を読み漁る。営業力は、パーソナルな問題も絡んでくるが、スキルとしてテクニカルな部分を身につける。

 以上だ。

 よく不動産会社では、まずやらせてみて営業力をつけさせよう、という全く論理的ではないステップで育成をしているケースが多い。
 まず知識のベースを最短で身につけ、その上に営業テクニックを乗せることが重要だ。人間は知識を身につけると、それを誰かに伝えたくなる習性がある。それを考えると、まず知識を身につけ、それをアウトプットする手段を身につけさせることで、短期間で成果を上げることができる。
 
また最後にビジネスマンに1番大事なスキルを持っていることも新人には重要だ。それがないとまず人は成長しない。

 それは、ただひとつ、「素直さ」である。



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