不動産会社の反響獲得方法

 不動産会社では、物件の問い合わせを増やすことは、ある種、至上命題である。この反響獲得のために不動産会社は、ありとあらゆる方法を使い、膨大な時間をかけている。物件を預かる元付の役割の会社とは別に、客付の会社にとって、この反響獲得方法において企業努力をしない会社は、生き残る確率は減るだろう。

では、どのような反響獲得方法があるだろうか?そしてどの方法が1番効率的なのだろうか?

 ここで注意点としてあげられるのは、何もメール問い合わせや電話での空室確認の問い合わせだけが反響ではないということだ。どのサイトにどのように掲載するか、という考え方は、反響獲得の複数あるツールのひとつの話でしかない。
 

飛び込み来店
業界用語で「フリー」と呼ばれる来店からの問い合わせ。 駅前一等地などで多く見られるが、年々飛び込みの来店者は激減している。しかし一昔前までは、この立地の良さは重要なものだった。しかし今、ネットを確認せず、そのままふらっと来店する顧客は、
ほとんど存在しなくなった。 

ポータルサイトからの反響
 SUUMOやHOME'Sなどのポータルサイトからの反響。1番手取り早く反響獲得ができるかもしれない。しかし、月に数件の問い合わせまでは、獲得は容易かもしれないが、数十件、数百件になると、これはかなりの労力と技術が必要になる。膨大な物件情報のなかから、どのように自社広告を目立たせるかは、効果的な運用方法を作りだすのと組織浸透させるマネジメントが重要になる。

企業、学校法人等との提携
 特定の提携企業や大学などと提携し、集客するパターン。特定企業の指定会社になると、信頼関係ありきの物件紹介ができるため効果的に接客がすることができる。実際、この法人提携や学校提携で、一気に成長した企業もある。課題としては、先方との手数料の配分の交渉や関係構築など、不動産会社がどちらかといえば不得意な対法人の対応などに、長けていないければ、事業として成立は難しい。またある程度、先方とのコネクションが必要であり、当然スタートアップの企業は参入しづらい。

自社メディア
1.自社サイト
 自社サイトを充実させ、Google検索等から直接反響を獲得するケース。当然のことだが、今やホームページを持っていない不動産会社はほぼ存在していない。しかしながら、この自社サイトから一定数の反響を獲得することは、かなりの至難の技である。
 まず物件名でのSEOを上げ、反響獲得を取るためには、定期的な物件更新やまた充実したホームページ構成を考え続けなければいけない。
 しかしながら、Googleのアルゴリズムで時にはGoogleから罰則が加えられることもある。そうすると、反響は激減する。常にGoogleとの戦いを継続し続けるマーケティング技術が必要になる。

2.オウンドメディア、SNS
 物件の視点を独自視点に切り替え、コンテンツを充実させ反響を獲得する方法。ユニークな記事や見栄えの良い写真等からユーザーの注意を取り、反響を獲得する。
 表面的にはコストも発生しないし、割と簡単に反響を獲得できるように見えるが、これも相当数の反響を獲得するには、かなりの労力が必要になる。当然、ライティング能力と写真撮影能力、所謂「見せ方」の技術が必要となる。また継続的なユーザーへのリーチやフォロー数の獲得なども、マーケティング技術がなければ、難しい。

チラシ、看板
 賃貸では全くと言っていいほど効果はないが、売買では未だにチラシ投函や看板、現地見学は効果的な側面もある。これは、商圏エリアが極小であることが理由である。当然、アウトソーシングするにせよ、コストが発生する。さらに効果が表れない時の徒労感は大きい。どのように商圏エリアを絞るか、また効果測定をどのように運用するかが大事なところだ。

顧客からの紹介
 
 一度不動産会社にお世話になったユーザーからの口コミや紹介などを受けるパターン。
 当然、成約率は抜群に高い。しかし、紹介をもらえる営業は、不動産業界でもトップレベルの営業スキルと気遣いが必要になる。またその営業する人間の、「人間力」も重要なため、なかなかスケールしづらいところもある。しかしながら、これらを身につけている営業マンは、定期的な紹介を獲得することができる。これをどのように企業に取り入れるかの制度設計は大変難しい。



 以上のように反響獲得方法には、様々なパターンがあるが、どれも楽な道ではない。

 よく不動産仲介会社は楽な商売だと勘違いされているケースがあるが、客付業務においてもここまで熾烈な競争があることを忘れてはいけない。
 
 またこのような客付業務と、物件獲得と管理運営の元付業務を同時並行で進めていくのは、高い計画性と経営能力が必要である。

 仲介会社は、楽な時代はとうの昔に終わっているのだ。
 また今後も、アプリやアンバサダー制度など新しい施策も次々と生まれていくだろう。



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