業界用語では「呼び率」といわれる数値は不動産会社ではとても重要視されている。反響からの来店率の数値だ。
具体的には反響を獲得してからお客様が来店頂く、もしくは、現地で案内するその数と反響数を割り算する。一般的には30パーセント程度だと言われているが、企業によっては、高い数値を維持している企業もあれば、低い数値で苦戦している企業もある。
個人的に相談を受ける案件も、この「呼び率」向上施策のご相談を受けるケースが多い。
今回は、その呼び率向上の施策をいくつか紹介していきたい。
その前に、そもそも来店する、もしくはお客様と会う、ということはどういうことなのかを考える必要がある。
たとえば、月に一度のお目当ての女性とのデートの時、飲食店を選ぶ基準はなんだろうか?
まず、今だと食べログなどで場所やメニューからお店を探す。そして、その店舗のメニューや予算を見て候補をあげる。そしてさらには、そのお店の雰囲気なども写真で見る。場所、メニュー、予算、そして店の雰囲気を見て初めて予約を行う。
この一連の動向がとても大事だ。そして、その動向のいくつかをスルーしてしまう不動産会社が、実際のところとても多い。
また顧客視点で見たときに、不動産会社に行くケースは、おそらく数年に一度だろう。もしかしたら10年に一度ぐらいの頻度かもしれない。また悲しいことに、顧客は、不動産会社に対して、マイナスイメージから入ってしまうのが現状だ。騙されるんじゃないか、ゴリゴリと営業されるのではないか、と考えるのは当然かもしれない。そのなかで、意を決して不動産会社の人間と会うことは、なかなか大変なところがある。
それを踏まえたうえで、呼び率を向上させるためには2つの軸から考える必要がある。
商品視点とブランディング
つまり、より良い物件、サービス内容と、会社に対する安心感、イメージの向上施策。この2つの軸をしっかり対策していかなければいけない。
これを基に来店向上施策の方法を伝えていく。
対応は最速で
自動返信機能などもあり、この時間対応はかなり改善を促している企業も多い。自動返信後の次のご挨拶のメール(チャットやLINE)も含め、とにかく対応は早ければ早いほど早い。しかし、なかなかこの対応にムラがある時は、たとえば事前の想定を細かくしておくと改善することができる。わかりやすくいえば、土日の忙しい時の対応フォーメーションや平日の人が少ない時のフォーメーションなど、曜日、ツールによりいくつかのパターンを想定し、対応策を考える。これだけでかなりの対応時間の短縮は図れる。
問い合わせの質問にキチンと答えているか。
ペット化の物件かどうかを聞いているのに、全く違った提案や来店を促しているケースも多い。まずやり取りが始まった段階で、その顧客のペルソナ化を行う。そして与えられた質問に丁寧に返す。(もっといえばプラスアルファの情報を与える)
また顧客の希望条件を想定化し、対応していく。もしDBからのチャット機能での追客であれば、反響物件によってキチンとしたペルソナ想定をシステムに組み込んだ方が良い。余談だが、このあたりのシステム開発がとても難しく、不動産会社がアナログな理由もこのあたりのデータ化の難しさなのかもしれない。
追客のルール化
当然だが、何度か追客して物件情報を提供し続ける必要がある。何回追客したら良いか、という質問もたくさん受けるが、「可能な限りたくさん」だ。自動追客のシステムを入れるのも良いだろうし、アナログで人となりのわかる文面でも良い。しかし、ただひとつ言えることは、これをきちんとルール化することだ。「呼び率が減ったから、追客しよう」という行きばったりの施策ではなく、それ相応のルールが必要だ。
と、ここまでは、割と一般的なところかもしない。そしてここまでは、所謂商品視点から見た追客方法である。あくまで追客の基準が「物件」を軸とした取り組みであるのと違い、以下の内容は、「会社」もしくは「お店」を軸とした追客方法である。
会社案内、店舗案内のページの見直し
知らない不動産会社に行く時、ユーザーは、ほぼ必ず不動産会社のホームページを見てから来店するかどうか判断する。無理に大仰なページを高価な金額で再製作する必要はない。ただ、どのような経営理念で、どのような雰囲気のお店なのか、を伝えることで、顧客は安心して来店することができる。
もし仮に呼び率が伸び悩んでいる企業があれば、一度自社の全てのページを見直して見てほしい。顧客目線になり、本当に来店したいお店なのかを検証してみることだ。
どこまで店舗情報を晒しているか上記と共に、どこまで店舗情報をオープンにしているかどうかも重要だ。
ひと昔前のように情報を小出しにしていくのは、時代と逆行しているように感じる。
店舗の細かい内装やサービス内容、またメンバーまでなるべく店舗を見える化していく。
こうすることで、顧客の問い合わせから来店のハードルを下げることができる。
物件情報だけではない、店舗自身の情報発信頻度
また上記のような店舗の取り組みをどれだけ定期的に発信していくかも重要になる。反響からの顧客だけではなく、SNSなどのツールを使い、ブランディングをかけることで、呼び率のベースアップを図ることができる。
以上のように、呼び率をあげるためには、物件の情報精度、追客の仕組みのみならず、どれだけブランディング戦略を打つかも重要な時代になってきた。
すぐには結果が出ないにしても、これを継続的に行うことで、成果は必ずでてくる。
是非一度試して見てほしい。
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