魚屋さんが市場に行き、目利きをし、新鮮な魚をユーザーに提供するように、不動産の仲介業務において、物件をピックアップするのは重要な業務だ。
もしかしたらこれが業務において、一番重要かもしれない。
時代的に逆行するかもしれないが、現在の不動産の情報技術では、本当に精度の高いブツ出しを行えるツールは、今のところない。
少なからず不動産仲介業に従事している人間にとって、このブツだしのスキルは、なかなか説明のつかないものだろう。おそらく反響から来店、成約までデータ化できていない部分があるのと、そもそもデータ上にない感覚値的なものも重要になっているためだ。
おもにブツ出しには、3つの方法がある。
ひとつは、上記に述べたようなレインズや業者間向けサービスで新着物件を見尽くし、最適な物件をピックアップするパターン。
もうひとつは、懇意の売主、もしくは管理会社から独自の物件を仕入れて広告掲載するパターン。そして最後は、オーナーからの直接物件から広告掲載するパターン。
同業者やオーナーに物件を調達するのは、どうしても数に限界があるため、ルーティン化が難しい。しかし一番最初に記載した、物件を見尽くす、という作業は仕組み化すればどんどん効果的になる。
極端に言えばアットホーム社のマイソクに宝のような物件があるかもしれない。レインズのメインのカテゴライズ以外のところに物件が眠っているかもしれない。
そういった地道な作業をどれだけこなしていくかで、大きく売上に差がでてくる。
ここで意見として言われるのは、データをクロールするなりすれば、良いのではないか、という意見があるが、大手企業はさておき、一般の仲介会社は、営業メンバーが物だししたほうが育成部分を考えても良い。
まず、毎朝のルーティンワークで物件の相場観を叩き込むことができる。これも公表されている相場や人気のエリアなどはあまりアテにできない。生の情報をどれだけ頭に入れておくかがカギになる。
たとえば、物件内覧中に、ユーザーに相場を聞かれたらどうするのか?類似物件が他にあるかを聞かれて瞬時に応えられるかどうか。対応があやふやになった時点で、成約率は驚くほど下がる。またその時に、いちいちデータを引っ張り出して、説明するのも難しい。
不動産仲介業務で優秀な会社は、ほとんどの会社がこのブツ出しを徹底している。しかも午前中の朝イチに対応している会社が多い。(当然昨晩の反響対応をしながら)
新着物件としていち早く届けること、また仕事を集中するための一種の儀式として行う。
これが強い営業力を育てる鍵となり、他社との戦いで勝てる要素なのだろう。
今一度、午前の業務を見直してみるのも良いかもしれない。
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