不動産業界にとって2019年はどのような年になるのか?

 あけましておめでとうございます。
 昨年は大変お世話になりました。本年も宜しくお願いします。
  
さて、 平成最後の2019年は不動産業界どのような年になるのか少し考えてみたい。
 ちなみに私事ではあるが、この年末年始は、全くといっていいほど、スマホを開かず、ネットを見なかった。これはこれで驚くほど情報が少なく、ある意味、不安な部分もあるのだが、その不安が「ぼんやり」した不安なのが、なんとも興味深い。世の中は本当に情報に溢れていて、いかに取捨選択をして生きているのかが良くわかる。つまり、欲しい情報は深掘りできて、いらない情報は全く見ていないのだ。もしかしたら今後は、全体感をどのように捉えるのかが重要になるのかもしれない。専門性と、全体俯瞰のチカラのバランスが大事なのかもしれない。

 さて、2019年だが、不動産業界もいろいろなことがあるだろう。しかしながら、どちらかといえばドラスティックな変化というよりも、じんわりとスタンダード化が始まるような年になるかもしれない。
 このあたりをいくつかの項目に分けて考えてみた。
 GAFAの不動産業界への影響
 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという4強に対して、世の中が改めて脅威を感じたのが2018年である。今年はこの巨人たちがどのように不動産業界に影響を与えるだろうか。
 グーグルに関しては、実のところ、不動産会社の検索などで評価ポイントが現れるようになっている。ここから不動産会社の物件情報との紐付けを行えば、ポータルサイトはかなりの大打撃を食らうだろう。
 しかしながら、不動産取引の専任や媒介などの取引容態はかなり見えづらいので、あくまで情報を纏めるだけかもしれない。しかしながら、それでも不動産会社→公開している物件情報という紐付けはそれはそれでかなりの脅威になる。2019年はGoogleかどこまでこのあたりの情報を纏めていくのかが鍵となる。
 またフェイスブックに関しては、正直、日本だと中高年以上しかあまり使用していない。フェイスブックというよりもインスタやツィッターなどのSNSの利用方法が重要になる。
 またアマゾンは18年5月にアメリカの住宅大手とスマートホームの建設で提携している。
 まだ日本に上陸するのは先かもしれないが、住宅領域で大手メーカーと提携すると、かなりのイノベーションが起こるかもしれない。

決済システム
 スマホ決済は昨年の12月にPayPayが大型キャンペーンを実施し、話題になった。また日本ではLINE Payも昨年11月にクィックペイとの連携を開始した。このような決済システムが不動産業界にどのような影響を及ぼすのか。おそらく売買のローンなどよりも、賃貸の賃料支払いなどをうまく利用する企業が出てくるかもしれない。家賃集金を管理する管理会社がうまくこのような仕組みを取り入れると面白いサービスが生まれるかもしれない。

店舗(流通)
 業務効率化などの観点から不動産店舗の存在意義は昨年よりも問われる年になるかもしれない。しかしながら、実際のところ、ほかの店舗と大きなサービスの差を出せていないのも不動産会社の現状としてある。他社との差別化をどのように行うのか、そしてエリアマーケティングをどのように活かしていくのかで、まだまだ不動産店舗の伸びる価値はあるだろう。
 しかしながら、手数料だけでは収益ビジネスとして年々厳しくなっているので、どのようにストックの売上を確保するのかが重要になってくる。管理物件を増やすのか、それとも他の周辺事業を行うのか、このようなシナジー事業との相関性と、店舗の独自性を考えた会社が勝ち残るかもしれない。

M&A
 後継者不足は、不動産業界のみならず他業種でも大きな問題となっている。2018年は都心部では管理事業の売却やM&Aは盛んに行われたが、今年は地方大手の不動産事業者の動向に注視したい。地方の高齢者の事業主の買収をしていくのか、または都市部、他県への進出をしていくのか、これは企業の戦略によるところが大きい。

人材
 実際、まだまだ不動産に対して専門的な知見からユーザーにアドバイスできる余地は十分ある。しかしながら専門的な知見だけではなく、コミニュケーション能力などのソフトな部分も重要だ。これは今年に限ったことではないが、より専門的な知見プラスコミュニケーション能力の高い人材が重宝されるだろう。
 そして、RPAなどでどこまで業務効率できるかは昨年と引き続き重要になる。採用に関しても、相変わらず厳しい現状のため、いかに単純作業をAIや外注に任せ、上記の専門的なアドバイスをユーザーに行う時間を確保していくかが重要になる。

空き家、 地方
 空き家問題はこれは国策として対応しなければ、すぐに解決できる問題ではない。現在の空き家放置の問題を法律でどれだけカバーしていくかが鍵となる。そこにはあくまで空き家を更地にしたり、税制を軽減したりするだけではなく、中期的なその地方、地域の在り方と連動した戦略を立てなければいけない。
 使えるもの、使えないものの見極めと、使えないものの処理、利用方法を地方全体として考えていくような年になるかもしれない。

景気と不動産業界の相関性
 昨年末から米中貿易摩擦により、日経平均株価は下落している。当然、景気が悪くなると、金融機関の引き締めも強くなるが、まず不動産一棟投資は、かなり細かく物件によってコンテンツ、戦略を固めなければ融資が降りなくなるだろう。
 また消費税増税の影響なども無視できない。不動産決済のタイミングにより、今年度の初頭の諸々の指数が重要になるだろう。増税後は実需はかなり厳しくなる可能性がある。
 
外国人労働者との相関
 今年の4月に特定技能が新設され、5年間で35万人の外国人の受け入れが見込まれているが、受け入れ体制としての賃貸入居審査、また受け入れ先の物件確保などが、大きなテーマになるだろう。もしかしたら郊外の空き家対策などに利用できるかもしれないが、実際のところ、現在、技能実習生の失踪も多く、なかなか手を出しずらいのが現状だ。
 このあたりを公的関与の拡大で担保できるかが鍵となる。

 
 2019年は、劇的な変化は起こらない年かもしれない。しかしながら、緩やかな地殻変動が起こり、それが2020年の大きな布石となる年になるのは間違いない。

 時代を見越した柔軟な対応と、質の高いサービスの担保が、今年も不動産業界にとって、重要になるだろう。