今やどの企業も人手不足に陥っている。中小企業のみならず大手企業でさえも、採用にかなり苦労している印象だ。
おそらく、これからもしばらくこの人手不足の問題は続いていくだろう。そして従業員のみならず、今や後継者不足などで倒産するケースも相次いでいる。
では、人材市場は現在景気は良いかと言われれば、特に採用市場、そのなかでも広告系はかなり調子が良いようだ。当然、企業は人が欲しいから、人材広告の会社にお金を払う。そしてだんだん広告枠の取り合いが始まる。いわゆるプラットホーム型のビジネスモデルの成功の典型だ。しかしながら実際、上手く出稿者の企業は雇用できているかと言えば、決してそうではない。これも経済の論理から言えば当たり前のことだろう。人を雇いたい企業が多く、それに見合う人材が少ない。そうなると儲けるのは、胴元だけである。
個人的にはこのような時代に、人をどんどん採用するのはあまり得策ではないと考える。しかしながらそうは言ってられないのも現状だ。そして、当然のことながら事業を発展させるためには、派遣や期間社員よりも正社員のほうが何倍も効率が良い。
では、このような時代に、企業はどのような採用戦略を打ち、どのようなステップで人を雇用するべきだろうか。
私の経験と、個人的な見解を述べてみる。
1.そもそも何故人を採用するのかを考える。
ただ人手が足りないのなら、派遣社員でもバイトの雇用でも、もっと言えば業務のアウトソーシングでもよい。そもそも何故社員を雇用するのかを考えるべきだ。事業を強くするためなのか、シナジー効果の高い新規事業を発展させたいのか、そしてもっと言えば、5年後、10年後何名の企業で、年商いくらの企業になっているのかをしっかり考えたうえで、採用計画を立てなければいけない。
実を言うとこのあたりが一番採用活動で抜け落ちることが多い。
当然といえば当然で、人材広告会社は、まともにヒアリングし、「採用の必要がない」という結論を提示できない。そうすると目的が不明確なまま採用活動をしてしまう。
1.数年後。どのような企業になるのか?を考える。
2.数年後には何名の、何の事業を展開し、いくらの売上高、いくらの利益率の企業になっているのか?のかを明確にする。
3.それを踏まえたうえで何故採用するのかを考える。
2.どのような人物と働きたいのかペルソナ化する。
20代でやる気のある方が良い、とよく採用担当のかたは言われるが、
「20代のやる気のやる人ってどんな人物なのだろうか?」
何処に住んでいる人なのか、どのような人生や価値観を持っている人に入社してもらいたいか、我々の仲間になる人はどんな人が良いのか?そして仕事のスキルはどのようなスキルを持っていれば良いのか?本当に経験者のほうが良いのか?そして性格は明るい人が良いのか?
採用できようが、できなかろうが、まず徹底的にペルソナ化する。
1.採用したい人物のペルソナ化を経営幹部同士でブレストしてみる。
2.ブレスト内容を整理し、検討を重ねる。
3.数パターンのペルソナの人材設定を行う。
3.ペルソナ化した将来の人材に対してどのようなストーリーを語るのか考える。
ここまで来ると、次はアウトプットになる。
では、どのように今後の仲間に企業の事業性を語るのだろう?
まずこのストーリーを作り込む。簡単な文書でも、メモでも良い。そのペルソナの対象者に対して、どれだけのストーリーを語れるかを考える。そして作成する。
ちなみに中小企業の場合、応募者に対して、現状の事業を伝えるよりも、今後のストーリーを語った方が良い。
そしてそのストーリーが描けず、採用してしまった場合は、採用のミスマッチが良く起こる。
1.ペルソナ化した人物像に対して、誰が何を伝えるのかを考える。
2.またさらに今後の企業のストーリーをどのような内容で伝えるのかを考える。
3.できれば、それをカタチに残しておく。
4.企業のアウトプットの場所、方法を考え、制作する。
そして、ここが一番大事なところだ。この上記の過程を、何処に、どのように発信していくのか?
採用ページを作るのか、またはホームページに載せるだけなのか、オウンドメディアを立ち上げないのか、もしくはフェイスブックページを作るのか、動画制作するのか、を考える。頭の中で完結するのではなく、どのようなツールで、どのように発信するのかを考える。そしてそれを制作する。
1.制作ツールを考える。
2.ペルソナに対してのストーリーを伝えるコンテンツを制作する。
3.なるべく継続的に発信できるように企業内で仕組み化を行う。
(またこの同時期に企業としての制度設計をブラッシュアップするのも良いだろう)
5.人材ポータルサイトに掲載する際は、上記の制作物を上手くリンクさせる。
そしていよいよ採用活動開始になった際は、上記の制作物を上手くリンクさせる。正直、この段階になると、かなり強い採用戦略が確立されているのではないだろうか?
6.面接時のチェック点
面接には、もしかしたら大手の上場会社ではない限り、なかなかスキルが高い人は来ないかもしれない。
しかし、上記の1から4までを徹底的に突き詰めていくと、応募者の質が異なっていることに気づくだろう。
また上記のような制作物がある際は、なるべく多くのかた面接をした方が良い。今までよりも基準ハードルを下げてみても良いかもしれない。
そして面接の注意点は以下だ。
1.上記の制作物、コンテンツを見ているか?
2.企業のストーリーを理解しているか?
3.ペルソナの人材に近いか?
この3点だけで充分だと思う。
やたらスキルやこれまでの経験を細くヒアリングする必要はない。その前までにかなり振るいにかけられている。
以上だ。
昔は企業の採用には莫大なコストが発生した。今も掲載等はそうかもしれないが、コンテンツ制作は、ほぼタダで実施できる。問題は、先程述べたような方向性やペルソナ設定、伝え方をどのように行うかが重要なところだ。それをしっかり行うと、採用のトータルコストは、結局低く抑えられる。
是非一度試して見てほしい。
あ、ちなみに弊社でもお手伝いしているので、何かあれば連絡ください笑
採用活動に関しての「思い込み」を取り払う。
優秀な世代に敬意を払うこと。
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