不動産仲介会社様の幹部のかたと打ち合わせをしている際に、必ず出てくる話題。これが「広告宣伝費」だ。
不動産業というのは、買取再販や建売、また販売の業務のいわゆる「在庫のある事業」と仲介業のような「在庫のない事業」とに分けることができる。
在庫のない事業というのは、経営効率を考えると、とても理想的であり、粗利率も当然高い。しかし思いのほか、現在の不動産仲介業は、経営状況だけを見ると、そこまで大儲けもしている企業が少ないのが現状である。
(勿論、成功されている会社はたくさんあります)
理由として、参入障壁の低さが挙げられる。在庫がいらないとなると、仕入れ自体の資金が必要ないため安い金額で起業できる。
そうすると、類似企業が増え続けてしまい、激しい競争が始まる。競争のなかで、ライバルを出し抜こうとするため、莫大な広告費の投下、もしくは価格破壊を誘引してしまう。
そうすると、当然、経営効率が悪くなる。
不動産仲介会社の売上に対しての広告費の割合、そして人件費の割合は、かなり他の業種から見ても異様だろう。人件費率は、致し方ないのかもしれないが、広告費比率は驚くほど高い。売上の何%を占めるのかは、明言しないが、それが経営状況を逼迫しているのは間違いない。
また不動産広告は一物一商品であるため、どうしても情報は総合的なプラットフォームに集まりがちになる。そうすると、各種ポータルサイトに情報が集約される。そのなかでもまた激しい広告枠の取り合いが始まる。そうすると金額の手出しが増えてしまう。
では、今後、この広告費は増大していくばかりなのかと問われれば、これは一概にそうとは言えない。
まず、物件単位の特質をキチンと広告できるかどうか。先ほどの同じ商品がないことを逆手に取り、うまく部屋自体の特徴をしっかり広告していけば、他との差異を生み出すことができるかもしれない。そのような自社サイトを作るのもひとつかもしれないし、集約サイト(ポータル)でも工夫をすれば、上手く打ち出していくことができる。
またもうひとつ、ここが1番重要なところだと思うが、
本当に他には広告方法はないのか?
を考えなければいけない。
最近、若者の飲食店の検索は、インスタがメインだ。インスタのハッシュタグで行きたい場所、食べたい食べ物を検索し、お店を調べる。
また、とある企業での求人は全てツイッターで行なっている。ツィッターで仕事を探している人を検索し、そこにDMを送る。そうすると、よりダイレクトなコミュニケーションを進めることができる。
またセミナーやイベントなども今は動画配信で行い、それを収益にしている講演家も多い。彼らは、動画配信で自分自身を広告し、バッグエンドのセミナーで収益を上げる。
このように今やSNSを駆使し、上手く事業を展開している業種が増大している現状で、はたしてどれほど多くの不動産仲介会社が、SNSを有効に使っているのだろうか?
おそらくまだまだあまりスタンダード化されていないだろう。
ちなみにfacebook、ツイッター、インスタ、LINE @、どれも基本はタダである。
しかし、SNSの総合計アカウントは億ではきかない。
これを活かさない手はない、というか、活かさないと企業努力をしているとは言えない。
冒頭部分の話に戻るが、広告宣伝費を検討する場合、まずこのようなSNSでのマーケティングを駆使しているのか、また物件単位でのリーチ力をどれだけ高めていっているのかを検証しなければいけない。
広告費を抑えることは、何も予算を絞るだけではない。今の現代のトレンドを理解し、新たなマーケティングを行うことが、まず最初の打ち手だということを忘れてはいけない。
不動産会社の働き方改革って?
GAFAの脅威にどのように対抗していくのか?
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