超サイヤ人に確変した人たち

 サイヤ人でも、選ばれしサイヤ人にしかなれないもの。それが超サイヤ人だ。超サイヤ人に変わった途端、全ての戦闘力がアップし、より戦闘自体にもコミットをする。
 しかし超サイヤ人になるためには、生半可な修行では足りない。自分の限界を超えた時に初めて新たなステージに降り立つことができるのだ。
 (ドラゴンボールという漫画を知らない人はいないだろうという前提のもと、この記事は書いております)


 何もこの話はサイヤ人に限ったことではない。この地球の、そして日本の、現実社会のビジネスマンにおいても、この超サイヤ人化をした人というのを数名見たことがある。

  マネジメントを続けていると、部下に対し、「この子はちょっと厳しいのではないか。。」、「彼はこの業務に向いていないのではないか。。」と思うことが多々ある。
 勿論、そう考えたとしても、総合的な判断を下し、配置変えや部署変えを行うのだが、なかには、遺憾ながら諸般の事情を鑑みて、当面、既存のポジションのまま、仕事をお願いすることもある。
 しかし、そうした状況のなかで、時に驚くような結果が生まれることが稀にある。
 
 仮に一般的に3ヶ月程度で、概ねマスターできる仕事があったとする。しかしこの超サイヤ人のかたは、3ヶ月でマスターできない。その倍の半年以上を要し、ようやく仕事をマスターする。
 そして、この半年を超えたあたりから一気に確変していくケースが少ないながらも、ある。

 20代の前半の頃、とある仕事をしていた時に出会った新人は、とても世間の常識がなく、見た目もあまり良い印象ではなかった。所謂問題児だ。しかし誰もが目を背けるなかでも、彼はコツコツと仕事をしていた。とはいえ、当然、見た目、話し方、スキル、どれをとっても下の下だ。まぁ戦力には少なからずなるだろうと半ば諦めつつ、指示していたのだが、ある日を境に彼は確変した。
 気がつくとその職場ではなくてはならない存在になっていた。

 またそれから10年後、とある仕事を任された私は部下4名とその業務に当たっていた。
 そのなかの1名は、他の3名と比べても、成長度は遅く、おまけにコミュニケーション能力も人より随分劣っていた。何度もクレームを発生させ、成績は限りなくゼロに近かった。しかしながら、人が足りない現状で、彼を外すわけにはいかない。半ば諦めつつ仕事をお願いして、しばらく経った時、彼は確変した。
 気がつくと年間でもっとも安定的な売上成績を残す、組織の要となる人物ととなっていた。

  確変した彼らの共通点は、いくつかあり、「成績が高いレベルで安定する」、さらに「組織を優先する高いパフォーマンスをだす」というところだろうか。

  しかし、確変した彼らの性格や行動には特別共通点はあまりない。もしかしたらマネージャーだった自分と彼らの関係が良好だったのかもしれない。しかし、良好でも確変しなかった人は多い。

 いずれにしてもこの超サイヤ人化を目の当たりにしてから、私はあまり時期早々にジャッジを下すことはしなくなった。
 人間の成長曲線は、本当に不思議であり、また仕事上だけでは判断できない。ブレイクスルーのタイミングは、彼らの今までの経験や生き方にも関係があるように思える。
 しかし、そこには明確な答えは無いような気がする。


 もしかしたら、今、マネジメントしていて「キツイ。。」と感じている部下がいたら、もう少し長い目で待ってみるのも手かもしれない。

 彼らの誰かが超サイヤ人になる可能性があるかもしれないのだから。

 
 伝説の上司の話