先日、数年ぶりにお部屋探しのお手伝いで物件のご案内をした。通常通り、物件を探し、お客様に案内する不動産会社の基本的な仕事だ。
件数は予定では4件。現地で待ち合わせて、順次物件を案内し、気に入ったかどうかをヒアリングする。
今回のケースはたまたま物件をピックアップしたのが別のスタッフで、私はあくまでその物件の内見だけをする予定だった。
内見自体は無事完了したが、 4件の内見ではたしてどれぐらい時間がかかっただろう?
なんと4時間である。もっといえば準備を含めると、5.6時間近く費やした。
通常のケースだとせいぜい2時間ぐらいだろう。しかし、今回のこの膨大な時間背景にはいくつか理由がある。
都心部で不動産仲介業務を経験されたことのあるかたならスグにわかるところだが、経験のないかたにはわからないかもしれない。
これは、管理会社から仲介会社への鍵の受け渡し方が原因で起こったことである。
この4件のうち、1件は不動産管理会社に鍵を取りに行かなければいけなかった。(しかも物件とは遠く離れた都心部)。これで1時間。次の1件は、当該物件の最寄駅の不動産会社ではなく、なぜか2駅隣の不動産店舗に鍵を取りにいった。これで40分程度。そして3件目は、物件最寄駅の不動産店舗からピックアップ。そして最後は現地のキーボックス。
お客様との案内時間は1時間半程度。お客様と別れて、鍵を返して事務所に戻るまでトータルで4時間以上かかることになる。
しかも面白いことに4つの物件、全部同じ最寄駅の物件である。物件の端から端まで歩いて15分程度である。しかし鍵を集めて、案内し、返却するまで4時間である。非効率の極みだ。(途中でバカらしくなり、笑いがこみ上げてきた)
何も鍵を取りに行かないと案内できない物件を複数紹介したスタッフを批判したいわけではない。もっと根本的な問題がここにはあると考える。
まず都心の本社まで鍵を取りに行かないといけないのなら、その企業は業者出し(客付)する必要はない。自分たちでお客様を見つけてくれば良いのだが、なぜかそれができない。しかし、現地には鍵は設置しない。大きな企業様だが、まるで宅配業者のように極めて事務的に鍵を渡された。もうその時点で紹介する気が失せてしまった。
次に2件目の中途半端な場所に預けている物件。おそらくその預けている仲介会社がたくさん、その管理会社の物件を客付していると思うが、私が鍵を取りに行くと、ボサボサの髪の毛の男性スタッフがカウンターでスマホゲームをやっていた。そして私に気付き、自分の袖机の引き出しを開けて、袖机の中から鍵をポンと取り出した。鍵の管理はどうなっているのだろうか?また私が渡した名刺は、必ず捨てられるのだろうが、その辺の処理大丈夫なのだろうか?
と、このような一連の事は日常茶飯事である。
おそらく不動産仲介をした人間なら誰しも経験あることだろう。
働き方や業務効率などとは程遠い現状だ。
ここからは仲介会社の魂の叫びの代弁だと思って書くが、本当に全ての物件を現地対応にしてほしい。今、スマートロックもあるし、宅都様のスマサポキーボックスもある。
空室対策のまず一番の手の打ち方は、広告料を増やすことではない。現地対応だ。図面には現地対応と太字で書かれていても良い。
業者間サイトには思い切り現地対応は優遇してプッシュすれば良い。
現実の問題として、仲介会社は土日などの接客応対の時間のない時には、鍵を取りに行かないといけない物件は紹介しない。さらに言えば、ベテランの営業になれば、その管理会社すら紹介しない。これが現実で起きていることである。
社内の働き方改革を叫ぶのは良いが、同じ業界にいるのならば他社との協力関係も真剣に考えるべきである。
まず他社付するならば、どのように他社が楽に紹介できるかを考えるのが第一だ。どのように自社を楽にしようと考えることは、その後に考えれば良いと思う。
20年後の不動産業界って?
不動産業務にイノベーションは起こるのか?
0コメント