2016年1月にスイスで行われたダボス会議。世界経済フォーラムと銘打たれた有識者たちのこの会合で驚くべき数字が公表された。
世界経済フォーラムは、将来の雇用についての報告書「The Future of Jobs」を公開した。この報告書は、世界は第四次産業革命に入りつつあるとの認識を示し、人事採用、技能、労働力はどうあるべきかを論じている。ビジネスの破壊的な変化で雇用情勢が劇的に変わるとし、新しい職業が生まれると同時に、従来の職業がなくなるとしている。いま小学校に入る子供の65%が、いまは存在しない職業に従事する
つまり今の小学生の半数以上は、将来、現在存在しない職業につく、ということになる。はたしてそれがどのような職業なのか、また根本的にその予測が当たるのかどうなのかは誰もわからない。
ひとつ言えるのは、AIの発展により、第4次産業革命が起き、我々の仕事における概念が大きく変わるということだ。
不動産業界は、いろいろな意味で遅れている業界だ。いまだに電話文化が根強く、ファックスで取引が行われる。少なくとも5年程度ではそこまで大きな変化は起きないかもしれない。しかしながら、20年という大きなタームで見た場合、業界全体は様変わりしているだろう。予測が当たる保証は全くないが、この20年の期間でどのような不動産業務が無くなっているか推測してみる。
仲介業務は死滅している可能性がある
この20年間で仲介業務は無くなっているのかもしれない。細かいところをあげると以下になる。
現在の業務は、適正な物件情報を掲載し、反響を取り、営業活動を行うのだが、そもそも広告の概念自体が変わっているように思う。ポータルサイトや自社ホームページに広告掲載を行う、という流れが、本当に20年後も残っているのだろうか。おそらくGoogleマップなどが物件情報を一元化し、その近くの不動産会社を紹介する、ような仕組みになるかもしれない。
またレインズという不動産会社専用の物件情報サイトがあるが、20年間クローズドのままなのだろうか。まだオープン化までは時間がかかりそうだが、20年経つと流石にオープンになっている可能性がある。そうすると、管理会社、もしくは元付と顧客との直接取引が加速化するだろう。
現在は、契約などのやり取りが煩雑化し細かいところが多いが、20年先はブロックチェーンなどで瞬時に審査、融資が可能になり、また必要な書類等もいらなくなっているかもしれない。
そう考えると、アンバサダー的な要素が強い仲介業者以外は、限りなく淘汰されているかもしれない。
登記情報をどのようにオープンデータ化できるか
物件情報データは、オープン化し、広告概念が変化するに違いないが、今後、不動産登記情報がどれだけブロックチェーンと連動していくかが鍵となる。現在の登記情報に対するリーチは、とてもアナログなものでDMなどで営業を行っているが、登記情報のオンライン化により、所有者がどこまで自分の情報を開示していくのかが鍵となる。20年後は、どの土地を誰が持っているかがスグにわかるようになり、その所有者に対して様々な営業活動ができるようになるだろう。ブロックチェーンが発展するうえで重要なことは、三為業者がいなくなり、適正な取引をCtoCで行うようにしていくことなのかもしれない。
3Dプリンターなどが発展し、工事価格が下落する可能性がある。
現在不動産価格は、土地と建物の価値を計算し、価格を算出するが、20年後にはビッグデータ活用と3Dプリンターの活用により、建物価格の価格破壊が生まれているのかもしれない。そうなると、価格の割合の大半が土地代金となり、不動産取引の流通が進んでいくのかもしれない。空き家なども一旦解体し、安価な値段で建物が建てられるようになると、現在とは違った空き家施策を進めていくことができるようになる。
20年後になくなるかもしれない業務
仲介業務
- 物だし
- 物件入力(広告業務)
- チラシ投函
- 空室確認
- 内見
- 契約業務
管理業務
- 賃料査定
- レントロール作成
- 写真撮影、図面作成
- 敷金清算
等々。
そう考えると、やはり人と人との繋がりが強い業務(紹介やオーナー提案)は、残りそうな気がする。
とは言え、20年後はどのような世界になっているか誰もわからないのだが。
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