不動産営業で、営業力と同じぐらい大事なもの

 不動産会社に新人が入社し、最初に接客をする時に、彼もしくは彼女は、大量の冷や汗をかいてしまうことが多い。目は泳ぎがちになり、必死にレインズを弄る。しかし汗は止まらない。結局、言葉もおぼつかなくなり、先輩社員がフォローに入る。

 その際、先輩社員は、「大丈夫だよ。しばらくすると、お客さんに慣れるから」と、声をかける。

 しかし、実際、その新人は別に顧客に対して緊張しているわけではない。

 「検索しても物件が出てこない」ことに焦っているのだ。顧客の条件通りに検索したら、物件が一件もヒットしない。では、条件を緩めてみようと再検索をする。数件出てきた。よし、これなら、と思い詳細ページを開くが、なんと詳細ページに現れてきたのは、定期借家の物件。慌ててウィンドウを閉じるが、同時に全てのウィンドウを閉じてしまい、またイチから検索をし直す。汗が止まらなくなる。。。というケースが圧倒的に多い。

 このようなことに対して二つの視点がある。

 まずレインズという不動産業者間物件データベースの使いにくいさである。これは以前も記事に上げているが、本当に使いにくい。芸術的なUIの低さだ。よくそのようなことを発言すると、「いやそもそもただのデータベースだから」というご意見を年配の方に頂くことがあるが、「いや検索しにくいデータベースだったら、意味ないすから」と答えたくなるほど検索がしにくい。またiPhoneやiPadでレインズから図面をアップしようとすると、図面が真っ暗(もしくは真っ赤)になる。ということは、内見中に紹介もできない。おまけに検索ごとに料金が発生する。
 不動産業界の業務改善や働き方改革をする前に、レインズをアップデートしてほしい。空き家やら、後継者不足やら、ペーパーレスやプロックチェーン云々の前にレインズをアップデートしてほしい。と切に思う。

 そして、もう一つの考えは、これは別の視点だが、不動産会社の新人さんは営業力と同時に「検索力」が必要になる、ということだ。

 条件通りに検索していくと、どうしても弾かれてしまう物件が沢山出てくる。そこを顧客のヒアリングを基にどれだけ引っ張り出せるかは、これは営業力というより、検索力としか言いようのないスキルである。
 例えば、顧客の希望条件が賃料70000円、25平米以上だった時に、71000円の24.9平米の最新の物件は弾かれてしまう。
また駅の距離が5分以内を希望する場合、6分のとてもステキな物件は弾かれる。たった1分の違いで良い物件が顧客の目に映らなくなる。
 勿論、今はポータルサイトなどは、独自のアルゴリズムを使い、近似値を割り出し最適な物件を提案できるようなシステムが生まれているが、それは「ヒアリング前」の状態だ。
本当にベストな物件を選ぶとき、悲しいかな、どれかを妥協しないといけない局面が生まれる。その時にきちんと希望条件をヒアリングし、ベースの検索軸以外の物件を提案することが営業の役割である。

 そう考えると、営業に必要なスキルは、ヒアリング能力と同時に、「検索する力」も必要になっていく。
 厳しいお題に対して、ヒアリングを行い、どのような物件を提案するかを特訓するのも必要な研修のひとつかもしれない。
 またiPhoneの使い方が上手い人間とビジネススキルが相関しているように、レインズなどの使い方もマスターしておくと接客能力が向上するのも悲しい現実だ。
  
 営業力だけでは判断できない指標があることを管理職は忘れてはいけない。
 

 
  不動産会社の新人育成で必要なこと。

営業の重要性