結局のところ、人は何人までマネジメントできるのか?

  最小の一人から数万、数十万人規模の大企業まで会社組織の規模は多岐にわたる。

 今や、一人だろうが数十万の従業員を抱えている会社だろうが、評価するのは自分自身であり、いかに個が幸せに生きるのかが重要になっている。これはまさに大きな時代の変化だ。昔は、年収であったり、勤め先であったりで、評価されていたものが、今やだんだん通用しなくなっている。どのように生きるのかが問われる時代だ。

 ただそうは言っても組織は、やはり急激に変化できないし、そこには人をマネージメントしなければいけない局面が当然ある。

 興味深いことに、今の新卒生や20代の若手はあまり管理職に立ちたくないらしい。時代の変化といえば聞こえが良いが、生々しく表現すると、「管理職になっても幸せを感じないだろう」という彼らの見解があるはずだ。

 そのような時代でどのように人をマネジメントしていくのか、そこには様々なテクニックがあり、システムの構築の必要性があるが、原理原則として、自分の経験上、マネジメントの「規模」に絞って考察してみたい。
 あくまでもこれは私自身の私見であるので、正否はわからない。

人間は5人以上直接マネジメントできない
 自分の直接の部下が5人を超えた時、そのマネージャーのマネジメントは生産性が格段に落ちてしまう。5人を超えた時点で、チームを2つに分け、それぞれに新しいチームを作るべきだ。5人を超えた段階で、部下に対するリーチ力は極端に落ちてしまう。

拠点のマネージャーは3箇所までが限界
 たとえば渋谷、品川、新宿、東京の四箇所に事業所があった場合、渋谷と新宿でエリア統括、品川、東京でもうひとつ。そしてこの二つの組織体を管理する役職が必要だ。拠点のマネジメントは4箇所になった瞬間に別の文化が生まれ始める。
ちなみにこれは不思議なところで、場所の距離は関係ない。東京、ニューヨークを管理するほうが、東京、品川、新橋、上野の4つをマネジメントするより上手くいく。

兼任は愚の骨頂
 人がいない場合に企業は役職者に組織を兼任させる。しかし、兼任しても良いパターンはあくまで代理の誰かがいるうえでのパターンだ。兼任をいくつも行い、さらにその兼任組織に代理となるマネージャーがいない場合は、ただ悲惨な状況となる。もっと突っ込んで言えば「放っておく」しかない。人間はそこまで目が行き届かない。

 
階段ひとつ飛ばしの意見は聞く必要ナシ
 これも極論かもしれないが、よく現場メンバーとのヒアリングを重視するケースがあるが、これはふたつ飛ばし以上でないと上手く作用しない。たとえば、社長→部長→課長→主任の組織が存在する場合、社長が主任や現場メンバーの声を拾うために彼らにヒアリングするのは問題ないが、社長が課長の話しを鵜呑みにし始めたらそれは危険な兆候だ。
 当然、人間関係に微妙な軋轢が生まれ始める。これは組織学でよく指摘されるところである。

マネジメントは相性の問題が往々にしてある。
 よく〇〇さんはマネジメントができない、という意見を聞くが、そもそも上司と合わないケースや部下のメンバーと合わないケースも多々ある。今までパッとしなかったマネージャーが、上司が変わり、部下が変わった瞬間輝きだすケースはとても多い。一過性の見方をすると、社内のリソースはだんだん無くなっていく。


 以上が、私が感じたマネジメントの規模の感覚だ。

 ここで良く言われることは、「いや、今や業務支援ツールも発展しているし、業務も見える化できるし、仕組み化も進めるので、もっと多くの拠点や人間をマネジメントができるのでは?」という意見を多く頂くが、まさにその通りかもしれない。

 しかし不思議とシステムだけで上手くいった企業は、見たことがないのも現実だ。

 人の心を扱うのは我々が考えている以上に難儀なものだということを忘れてはいけない。




 集団には様々な種類の集団がある。
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