モノを買わない時代、モノを所有しない時代となった今だが、それでもやはり欲しいものがあれば購入するだろうし、そこには原材料を精製する場所があり、卸しがあり、売場がある。そのチャネルをどのように変えていくのかは、今のビジネスにとってとても大事なところだ。買い手が購入を決めてから、買い手の手に届くまでの流れは、世界を大きく変えつつある。
物流というこのモノの流れは、現在のビジネスにおいて、とても重要となっている。もっと言えば、いくらサービス性が高い、ユニークな商材(モノ)を開発しても、それをどのように流通させるかを考えなければ、その商材を売ることができない。
この物流システムを抑えはじめ、我々の生活大きな影響を与えているのは、ご存知のとおり、「Amazon」だ。
個人的なところだと、まず以前は近くのレンタルショップでDVDを借りていたのだが、今はAmazonプライムで、オンラインでレンタルをしている。
また先日、とある商品をまとめて買いに行ったのだが、都心の専門店で商品だけ見て、後日、10数点の商品をAmazonで購入した。そうすると、次の日にその商品たちが届いた。
今や全世界の商品が、オンラインで買えるようになった。それを抑えたのは、決して戦争をしたわけでも、侵略をしたわけでもない。インターネットのチカラで、その物流システムを大きく変えた。
歴史的に考えると、古代からこの物流システムを取るために、人々は争っていたと言っても過言ではない。古くは地中海の物流システムを取り合った古代ローマ時代に遡る。ローマ帝国は、地中海を制することで、モノの流れを抑えることができ、かつ統治システムを組み込んでいくことで千年近く続く大国を築いた。またローマ崩壊後、ヴェネツィアという海洋国家が大きく栄えたのも、この物流システムを上手く利用したからだった。
またイギリスの産業革命においても、労働リソースと物資の流れを、植民地を利用することで、大きく発展させた。大西洋の航路を抑えることで、物流システムを発展させ、世界に大きな影響を与えた。
また逆に流通システムを軽視することで、社会主義は市場競争力を軽視し、崩壊を招いてしまった。
では、今は海流を抑えることが物流を抑え、王者になるための条件になるのだろうか。おそらくある部分(関税など)では正しいのだが、ある部分ではそうではない。明らかにインターネットを制したものが、モノの流れを変えることができる世界になった。
ネット上で、流通させる機会を創出し、倉庫と配送システムを構築しているAmazonは、おそらく世界史上、最初の全世界の物流を抑えた企業となった。
今後、彼らはおそらくチャネルの最後の「小売店舗」にも参入していくだろう。このような時代で、彼らの戦略を理解し、対応していくことが今後の企業の生き残りの命運を決めるのかもしれない。
0コメント