たとえば朝起きたあと、「あ、これは夢か」と言われるような悪夢を誰しもたまに見ることがある。恐れていた人に追いかけられる夢、仕事で大きな失敗をしてしまった夢、未知の生物に命を狙われる夢、誰しもそんな悪夢を年に数回は見るだろう。
こんな夢があったとする。中国で未知のウイルスが発見され、発見された街は封鎖したものの、ウイルスは世界に拡散し、欧米諸国では数万死者が発生する。世界の経済は停滞し、日本も戦後初めて緊急事態宣言を発令し、街から人がいなくなる。なかなか悲劇的なシナリオの夢ではないか。
しかしこれは夢ではない。今、まさに現実に起こっていることなのだ。これから世界は大きく変容するだろう。世界の仕組みを変えるためには、個人の価値観の変容が不可欠だ。その個人の価値観の変容が世界中で起こりつつある。
ちなみに私のような仕事は、この悪夢のなかだとおそらくかなり必要のない仕事であろう。第三次産業をさらに発展させるための助言を行う仕事。これが私の仕事だ。正直、この危機的状況のなかでは、かなり優先度の低い仕事である。必要なのは、食料を生産する仕事、それを輸送する仕事。そして病気を治す仕事。これらの仕事以外は、究極的には必要ないかもしれない。
そもそも固定費も発生させていなく、極限まで人を雇用もしていない私は、他の企業の社長さんたちに比べて、だいぶ気が楽なほうだろう。ダメになったら、近所でバイトでもすればよい。
とはいえ、そうはいっても仕事は仕事であり、事業は事業である。当然ながら、私の事業もそれなりに手痛いダメージを受けている。毎年、この時期は、新卒の新人研修があったり、新しい年度の戦略策定、新規サービスのお手伝いのご要望を頂く。
しかしながら、今年はほぼそういったお願いは、ない。当たり前と言えば当たり前だ。常識で考えたら、なかなかこの状況下で集合研修をする企業は多くはないだろう。
また当然、どこの企業も厳しくなっているので、ランニングコストカットとして、契約を切られるケースも多い。それに対して怒り狂う程、私は子供ではなく、まぁそりゃそうだろうな、と理解し受け入れる。(とはいいながら、いきなり終了、と聞かされるのはなかなか痺れるものがあるのも否めない)
では、現状、今、暇で暇で家でスウェットを着て、スイッチをしているかといえば、そんなことはない。かなり現状は、忙しい。それは新規の受注というよりも、一部の既存のお客様からの要望が増えているからだ。現在のような変化に対してかなり迅速かつ柔軟な対応をしなければいけない状況の時に、ちょっと手伝ってよ、と言われることは本当に個人的に嬉しいものである。ただ要求レベルがなかなか高いので、それはそれで大変ではあるが、それでもやりがいをもって働くことができる。
これから何ヶ月か何年かかるかわからないが、必ず状況は好転する。そんな時、このような状況下で、お仕事を頂いた御恩を私は決して忘れないだろう。
時世が良い時に仕事を貰えるのは当然と言えば当然だが、悪い時に敢えて期待を込めて頂くのは、信頼関係に他ならない。
元来、どのようなビジネスでも、「このタイミングで助けてくれた」という信頼がゆくゆく強固な関係性を築いていく。
また昔、戦時下だった時、お互い戦地で助け合った兵士たちが、終戦後、とても強い友情を基にビジネスを成功させた話をよく聞く。
今が戦時下であるならば、本当の信頼関係を築いていくことが重要なのかもしれない。
明日も働かなければ。たとえ、家にいながらスウェット姿でも。
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