スタートアップのご相談を頂くことが多々ある。手元資金から事業を始めるケースもあれば、大きな資金をファイナンスをして、始めるケースもある。業種、業態は様々ではあるが、創業当時は、皆、当然キラキラしている。いつか自分たちのサービズが市場を、世界を変えるのを期待してやまないだろう。
また相談の件数でいえば、スタートアップ以前のご相談件数は、それよりも数倍も多い。何故なら事業化する前のアイデア段階の話では、当然細かい精緻な事業計画があるわけではなく、まずアイデア面でのブレストの話によるところが大きいからだ。
事業のスタートから成熟までは、まるでロールプレイングゲームのようだ。大義名分のある目的を立て、仲間を集めながら、さまざまなミッションをクリアしていく。時には暗い洞窟に入らなければいけないこともあるだろうし、イベント毎にボスを倒さなければいけない。それでも、やはり冒険を進めていく楽しさは何者にも耐えがたいものがある。
しかし、あえて現実的な話をすると、実際のビジネスはそう甘くはない。
企業の生存率は、かなり低く、ましてやスタートアップの企業はそのリスクがとても高い。楽しみにしていた冒険も、気がつくと地獄の旅のような様相になることもある。
経営学にはベンチャー企業は、3つの障害をクリアしなければいけない、と言われている。ハードな冒険に訪れる3つの大きな障害。これを超えると、生存率なぐっと上がる。
今回は、その3つの障害を紹介してみたい。
1.魔の川
たとえば企業で何らかの研究をしていて、ある一定の成果が出ても、それが製品化できないこと。統計データを用いて、ある一定の法則を解明できても、肝心のターゲットを絞った製品が開発されない、などもそうだ。
昨今は、研究費用として多額の投資を行う企業も多いが、実際のところ、プロダクト化するまでに至らないケースは星の数のように多い。
2.死の谷
何とか魔の川を抜け出し、プロダクト化できそうになったところで現れるのが「死の谷」だ。ここではプロダクトと予算のバランスが取れないまま、深い谷に落ちてしまうケースだ。プロダクト開発に関わる費用はたとえばサンプル商品を作るだけではなく、大量生産が必要になるケースがある。何もこれは、実物商品だけではなく、ウェブサービスでも同じだ。サーバー費用、運営費用、そして今後の事業計画を全て勘案したうえで、始めてプロダクト化ができる。
当然、製品化だけではなく、人員計画など、全ての事業計画をクリアしなければ商品化は難しいが、やはりこのタイミングで消えてしまう企業も多い。
3.ダーウィンの海
魔の川、死の谷を超えてようやく船を手に入れた冒険者たち。ここからは広い世界を旅することができる。
しかし、海には見たことのない怪物達が血で血を洗う生存競争を繰り返していた。
ダーウィンといえば進化論、だ。このダーウィンの海という言葉の意味は、プロダクト化したのにも関わらず、市場の強烈な競争で負けてしまうことを意味する。市場では、多くの企業が、あらゆるリソースを競争に費やしている。彼らは経験も知識も豊富である。
このような激しい競争を超えて、ようやく初めて生存率はぐっと上がるらしい。
ワンピースでいえばここからがグランドラインの始まりだ。
企業を立ちあげることは、とても簡単にできるが、それを延命させることは本当に難しい。そんな困難をクリアすることは、大変ハードだが、それでもそこに向かう経験も、当然手にする宝も、なによりも変えがたいものだ。
今日も市場という海では多くのチャレンジャーを求めている。
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