この一年で不動産市況は大きく変わった。そのなかでも特に売買仲介の市況、潮目は大きな変化があったように思う。
都心だと徐々に物件がだぶついているように感じる。これは不動産バブルの緩やかな減速なのかもしれないが、それ以外にも、物件購入していたであろう世代のライフスタイルの変化によるところが大きい。
とはいえ、不動産会社でも、その会社のサービス自体を磨いている会社は、より強くなるだろうと思う。他社とは違った紹介サービスなどを尖らせている会社は、相変わらず業績結果は良い。
最近、お問い合わせで多いのが売買仲介業をメインとされている不動産会社が賃貸管理を始めるために、相談に来て頂くケースが多くなった。
昔と違って、近年の賃貸管理業は、非常に体系化されてきた。これは2つの理由があり、ひとつは不動産管理業がITにより、可視化されてきたことだ。基幹システムを使えば、かなり業務負担は軽減される。またもうひとつは、巡回点検のなどの清掃会社や原状復帰などのリフォーム会社の選定が、容易になったことだ。
実際のところ、10年ほど前まで、新規の発注会社を探すのは、結構骨の折れる仕事だった。しかし、今やGoogleで一発で探すことができ、気楽に発注できる。
仲介業務というのは、再現性が低い事業だと感じる。良い意味でも悪い意味でも。例えば、1人の営業マンが一件の仲介を十件にするためには、およそ時間的に十倍かかってしまう。しかしながら賃貸管理の件数が十倍になっても、時間コストが十倍になるわけでもない。もしかしたら二倍にすらならないかもしれない。要するに再現性の高い事業なのだ。
ただこのような再現性の高い事業の共通点として、単価が低いことが挙げられる。数をそれなりに確保するまでが勝負の境目なのだろう。しかし数を確保しながら、質のスキームを確立すると、継続的な収入が見込まれる。
また再現性の高い事業は、人の確保が難しい時代にはマッチしている。
仲介から管理へ。管理から仲介へ。いろいろな不動産会社が事業の多角化を図るようになってきた。しかし業種は同じでも、事業によって再現性は異なり、また当然、戦略も変わっていく。このあたりを冷静に分析していかなければ、多角化は難しいのかもしれない。
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