「値決め」の重要性

 このあいだ、CoCo壱番屋で野菜カレーにチーズをトッピングして食べた。会計は1000円近くで、とても驚いた。
 また別の機会で、マクドナルドをUbereatsでダブルチーズバーガーセットを頼んだ。これも1000円を超えていてとてもびっくりした。
 いつの間にこんなに値上がりしたのだと驚いた。

 家計であれ、経営であれ、基本的にはそれは経済活動の一環であることを忘れてはいけない。
 最近、よく売上高〇〇億円達成!というお話を聞く機会が多い。それはそれでとても素晴らしいのだが、しかしもういっぽうで見るべきところは、利益である。もっと言えば当期純利益である。
 とはいえ、当期の利益がマイナスであっても、そこまで悲観することではなく、投資フェーズの時期があるので、中長期的な観点で経営は見ていかなければいけない。

 ちなみに利益の出す方法は、売上からコストを引いたものである。なんと単純な公式なのだろうか。しかしそこには時代的な要素や内部的要因が複雑に絡み合い、ひと筋縄ではいかない。
 ともあれ利益を作るためには、売上を上げる、コストを下げる、という基本原則であるということは間違いない。
 
 そのなかの売上を上げる方法は、これもまたまた単純な公式だが、単価に数量を掛けたものが売上になる。今回は、この「単価」に焦点を絞ってみたいと思う。

 「値決めは経営」と、経営の神様、稲盛和夫氏が仰っているように値決めは超重要な要素である。
 これまでの経験上、先に述べたコストの削減は割とまだ苦労しなくても成果が出やすい印象がある。(人件費などは難しいが、広告宣伝費などは比較的、今の時代は抑えやすい)。しかし、売上を増やすための「値上げ」はかなり難易度が高いと感じる。

 では、前述したマクドナルドやココイチが何故値上げができているのだろうか。それは市場のリーダーであるからだ。市場のリーダーは「値段」を左右することができる。しかし市場のリーダーではない場合、強力な資本投下を行う、もしくはサービスの質を相当向上させなければ、値上げは難しい。
 原材料の高騰が原因で値上げしてしまう理由も、実のところ、市場リーダーだからなし得ることができるものだ。乳製品であれ、野菜であれ、基本は市場占有権を握っているリーダーのほうが値上げは容易だ。
 では、逆に商品を値下げするとどうだろうか?これも競争原理上、一旦、値下げをすると、とことんまで値下げをしなければいけない。そうすると、必然的に数量をひたすら向上させなければいけない。単純に単価を半分にすると、倍の量を売らなければいけない。

 最近は、無料でサービスを提供するものもある。例えばLINEなどのプラットホームがそうだ。しかし、彼らがLINEの使用料を取ることはない。そのかわりそのサービスをプラットホーム化し、付帯的な要素で売上を伸ばしていく。かなり多くのIT系のスタートアップの企業が、この戦略を採用している。わかりやすくいえば、市場に無料で徹底的にばらまく。その後、その商材に付属する低単価のものを大量に売り、売上を作る。
 これは、シナジー戦略と言われる戦略だ。このシナジー戦略が上手くいくと、次々とサービスの横展開を図ることができる。

 纏めると、値決めは、その時だけの打ち手ではない。それは中長期的な観点を持った経営戦略の重要な要素だ。値上げする場合は、サービスの向上を図らなければいけない。値下げする場合は、数量をどう増やすか考えるか、もしくはシナジー事業をどう成長させるかを考えなければいけない。

 いずれにしても、値決めは、とても重要である。