マネジメント能力は向上しないのか?

 組織に人間が3人程度になると、必ずと言っていいほど、マネジメントの問題が顕在化する。それほど人間が人間を管理したり、同じ目標に向かわせることは難しい。

 戦史に遡って古今東西の書籍を読んでも、殆どマネジメントが肝になっているケースが多い。だからこそ、未だに孫子が売れているのかもしれない。

 新しいマネジメント手法を管理職、経営職は学び実践する。そのなかで上手くいくケースもあれば、そうでないケースもある。もっと長い視点であれば、上手くいくケースも、しばらく時間が経てば、上手くいかなくなるケースがある。
そう考えると、マネジメントの方程式や能力の向上は、働く人間が勝手に作り出した幻想なのかもしれない。
 人は人を管理したり、夢を見させることはできないのだろうか。

 方程式を解く時に、前提条件というものがある。問題部分のところに、〇〇をxと仮定すると記載されているものだ。概念的な話だが、この前提条件を認識したうえでないと、絶対に数学の問題は解けないようになっている。この前提条件のところが、マネジメントにおいても重要だと最近思うようになった。

 たとえば、部下のA君の情報をまるで分からない状態で、最先端のマネジメント手法を実践してみても、上手くいくケースは少ない。
 逆にA君の個人的な性格、思考方法、家庭背景、そして業務スキルや現在の進捗状況まで把握しておくと、その後のマネジメントは上手くいくケースが多いように感じる。

 つまり、マネジメント手法を実践する前に、上長は部下の「情報量」があることが前提条件となる。

よく部下はこう言って辞める。
上司が「わかってくれない」。

 わからないのは、理解齟齬なのか、それとも情報不足なのかと問われれば、圧倒的に後者のケースが多いだろう。

 勿論、そうはいっても、部下の情報量を持ち、マネジメントをしても上手くいくかどうかはわからない。
 しかし必要なことは、方程式の前提条件だ。この前提条件を押さえないと、すべての解は得られない。

 もしマネジメントで悩んでいる人がいたら、まずこの「前提条件」だけでも達成するように動いても良いかもしれない。

 もしかしたら、その情報量だけで、問題は勝手に解決しているかもしれない。





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