本日はクリスマスイブである。
クリスマスを過ぎるとあっという間に正月を迎える。このスピードは年々早くなるような気がする。
いまから約30年前、このクリスマスイブの渋谷公会堂で伝説のライブが開催された。
ボウイの解散宣言ライブである。今は、このライブの模様をDVDで確認することができる。当時、ボウイは人気絶頂であったが、世間から解散するのでは?という噂があったらしい。またその発表自体も、この12月24日にされるのでは?と噂を呼び、当日は会場に入れない人で溢れていた。そしてファンの予見どおり、ヴォーカルの氷室京介がこのライブのアンコールのMCで、解散発表を行なった。
このライブDVDを見ると、異様な雰囲気の状態でライブが行われている。メンバーも何せ絶頂期なのでキレキレ、そして客も、何かただらぬ気配を感じて、手放しで盛り上がるというよりは、このライブを目撃しようという独特のスタンスでこのライブに参加しているのがわかる。
ちなみにこの映像は、当時のハンディカメラで撮影されており、記録的な要素が強い。しかしながらそれがよりこの日のこのライブの独自性を醸し出していて、なんとも不思議な作品になっている。
ボウイというバンドは、私のような40歳の人間からすると、神のような存在である。またこのバンドとの付き合い方や距離感は、まるで自分の音楽のアイデンティティを上手く表している不思議なバンドでもある。
中学校時代は、崇めるようにボウイを聴き、ライヴビデオを穴が開くほど見ていたが、高校になると、「ちょっとダサいもの」として距離を置き始めた。しかしそこから10年近く経つと、古い懐メロとしてまた聴き始め、それからさらに10年経つと、当時の時代背景や日本におけるビートミュージックの役割を念頭において聴き始める。まさに時代とともに、付き合い方が変わるバンドだが、切っても切れないほど深く影響を与え続けるバンドでもある。
今にして思えば、彼らは売れるべきして売れたバンドである。圧倒的な作曲能力、圧倒的なボーカル力。そしてキャッチーでありながらエッジの効いた演奏力。どれをとってもなかなか後進のバンドは出てこないほどエッジが効いている。この12月24日のライブではそれが高純度で表現されている。
今日はクリスマスイブ。おそらく恋人と暮らしたり、家族と暮らしたり、また友人と暮らす人が多いだろう。お洒落な音楽をAmazon MUSICやSpotifyで流し、聖なる夜を楽しむ人が多いだろう。
しかしながら今から31年前。1987年12月24日に日本中のロック好きの若者に影響を与えたバンドが渋谷で1つの時代の終止符を打つために解散を宣言した日でもある。
今夜はシャンパンではなく、また甘ったるいクリスマスソングではなく、缶ビールを飲みながらボウイを爆音で聞こうと思う。
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