不動産会社は、カウンター時の接客についていろいろなノウハウがある。
たとえば、会話の大まかな流れや、物件の提案方法、そしてクロージングなど、諸々をかなり細かく設定している。
しかし、物件の内見時の応対ノウハウというのは、意外と作成していないケースが多い。
勿論、お部屋の内見時、どのように会話をするのか、どのようにクロージングするのかをしっかりとマニュアル化している会社は多い。しかしながら、「移動中」の会話においては、マニュアルがスッポリ抜けていることが多いのが現状だ。
これは当然といえば当然で、物件の現地で待ち合わせして、一件だけ内見して終了するケースもあれば、多くの物件数をそれなりの距離を数時間かけて案内するケースもある。
もっと細かく言えば、一緒に電車に乗って、移動するケースもあれば、車で案内をするケースもある。そう考えると、移動中における統一的なマニュアルというのを作成するのはは、かなり難しいのかもしれない。
しかしながら、実のところ、この移動中の会話は営業における重要な要素のうちのひとつであることは間違いない。
仲介会社に勤務している人(もしくは、していた人)ならば、誰しも経験あるだろう。長時間の運転の際、最初は業務的な話をしていたが、途中から会話が無くなり、最早自分が営業なのか、タクシー運転手なのかわからなくなる瞬間が。また特に新人の場合、クライアントに対し少なからず気後れしている部分もある。そうすると、より一層、自ずと会話は減っていく。
このさじ加減は本当に難しく、移動中に質問をどんどんするのも良くない。まただんまりだと、本当にただの運転手、もしくは案内人だ。そこでクライアントに不信感を持たれた瞬間に、成約率は落ちてしまう。
実際、自分自身もこの内見時の移動時間は、とても苦手だった。特に自分は人見知りのところがあり、なかなかいきなりクライアントにベラベラ喋ることは当時できなかった。
(どうでもよいが、今でも仕事以外は極端な人見知りの傾向がある。プライベートだと、挙動不審に見える程酷い)
しかし、数をこなしていくうちに、なんとなく内見時の会話の糸口や、それに基づく成約向上のコツのようはものを見つけることができた。
それは、以下のようなものだ。
1.軽いジャブを打ち続ける。
あまりクライアントのプライベートのヒアリングを積極的にはしてはいけない。あくまで、軽く、だ。仕事の内容であれ、趣味であれ、軽く、そして間を開けて、聞く。
2.共通点を見出す。
その軽い質問のなかで、共通点を見つけだす。共通点は、わかりやすいところだと、出身地などがそうかもしれない。しかし、そこまでわかりやすい共通点が見つからなくても構わない。たとえば「夜、外食が多いですか?」という質問でも構わない。多いと答えてくれれば、仮に外食を少しでもする営業マンならば、それで充分だ。そこから会話を膨らませればよい。
この共通点が見つかるまでは、ジャブ→共通点探り、を繰り返す。コツは間を置くこと、そして質問はシンプルなことだ。
3.会話中は、こちら側7、クライアント3の比率を守る。
共通点が見つかった時に、こちらの会話の分量を大きくする。7:3ぐらいの比率が良いだろう。
ここにきてようやく会話の活性化が生まれてくる。
4.自分の話(自己紹介)をする。
会話が活性化し始めたところで、おもむろに自分の話しをする。内容は自分の家族のことでも良いし、今の仕事のことでも、過去のことでもよい。あくまで謙虚に7:3を守りながらだ。
心理学的に、こちら側が話をオープンにすると、相手側の親密度は高まるらしい。基本的に自分という存在をなるべくオープンにした方が良いが、そうはいってもあまりベラベラと喋るのは良くない。あくまで気を使いながら、だ。
5.住んだ後の日常をイメージさせる。
では、営業的な話はしないだろうか。勿論、車中や移動中にクロージングしても構わない。しかし、そこを無理にするよりも、もっと大事なことがある。
それは、クライアントが引っ越したイメージを軽く話しをすることが大事だ。
先程内見した物件に引っ越したら、どのような1日をクライアントは、過ごすのか?朝は何時に起きるのか?また仕事などにどのように影響するのか?そういった少し先の未来を想像してもらうのが大事だ。
以上である。勿論、クロージングも必要だろうし、きちんとした物件の説明、そして契約の説明も必要である。
しかしながら、大前提として、まずは信頼関係が全てである。信頼を持ってもらうための機会が、この内見の移動中にある。
もし会話に手詰まりなった場合、以上のようなことに注意しつつ、自分の心をオープンにしてみると、また違った成果が生まれるかもしれない。
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