今年の夏休みは、実家の愛媛には帰らない予定だ。世の中は、コロナの影響で、なかなか帰省できない雰囲気になっている。当然、田舎には、お年寄りのかたも多いので、万が一にでも感染させてしまい、大変なご迷惑にならないように、とりあえず今年はじっと家にいる。これが最善の方法かどうかは誰にもわからないが。
今回、都心にいる大半の人間は私と同じように家で過ごす夏季休暇になっているだろう。映画を見たり、ゲームをしたり、家族と団欒したり、人それぞれの楽しみ方があるだろう。私は、基本的にずっと家にいることができるので、そこまで家にいることがストレスにはならない。ただ、アウトドアが好きなかたは、なかなかストレスが溜まるのかもしれない。いつ収束するかわからないこのコロナ騒動。とにもかくにも早く通常に戻ってほしいものだ。
さて、今年の夏休みに実家に帰らないと決めたものの、この数ヶ月仕事をしていると、たまに猛烈に実家に帰りたくなった。もっと正確に言えば、「実家で仕事をしたくなった」。この数ヶ月、ほとんどの仕事がテレワークで完結した。オンラインのミーティング、自宅での事務作業でほぼ事足りている。そう考えると、実家の田舎に数週間滞在しても、そこまで仕事上のロスは生まれない気がしている。都会の蒸し暑い住宅街にいるより、海の近くの実家でテレワークをしたほうが精神的にも良いと思う。
朝起きて、海沿いを散歩して、朝ご飯を食べて、ネットを繋いで仕事をする。仕事が終わると、晩飯を食べ、虫の音を聞きながら、酒を飲む。最高だ。
しかし、勿論、今年はコロナの影響もあり、なかなか実家に帰ることに抵抗がある。個人的には、大丈夫だと思っているが、ヘタレの私は、周りの視線を気にしてしまう。だから、今年の夏は実家に帰らない。ただ、このコロナ騒動が終わり、今のような仕事のやり方が継続できているならば、間違いなく数週間、実家に帰り、仕事をするだろう。そういったことが可能になる社会に、今、大きく変わりつつある。
ここ数年、地方の空き家問題が深刻化している。私の地元のみならず、どこの地方も空き家が増えているようだ。空き家、といっても、元々は誰かの家である。所有者不明の空き家も多いが、実家を放置しているケースも相当数あるだろう。たとえば、実家のご両親がいなくなり、年に一度、掃除をするために帰省していたとする。しかし、仕事が忙しくなり、なかなか実家に帰る機会が無くなってきた。いざ、では売却しようと思っても、査定価格が驚く程安く(もしくは建築法上、建て替えすらもできなく)、やはり保有し続けるしか方法はない。ただ、そうはいっても、そもそも帰省する時間も、意義もあまりない。このようにして、「実家」が「空き家」に変わっていく。
こうしたケースは、かなり世間では多いのではないだろうか。
だが、それはこれまでの世の中のことである。
今まさに、場所を問わず、どこでも仕事ができるような世の中になりつつある。オンラインで事足りることをかなり実感している人も多いのではないだろうか。
また、それと同時に実家に長期滞在をすることで、地方にとっても多くの利点があるような気がする。
たとえば、仮に実家に1ヶ月長期滞在をするだけでも、家の管理状態は良くなる。家を「使わない」ことは、老朽化が大きな原因のひとつのようだ。また1ヶ月も実家にいると、やはり地元の居酒屋にも行くだろうし、多少の買い物もするだろう。そういった人間が増えることで、地方の経済は活性化する。
このコロナが収束した後、地方の行政は、長期帰省者へ何らかの経済支援をして、それを促進させるような施策を打ってみても良いかもしれない。たとえば、長期滞在をした際の、交通費の補助金や、滞在者への振興券など、いくらでも対策はありそうである。今までのUターンを増やす、移住を増やす施策よりも、消費数の向上は図れるかもしれない。
また、自宅のネット開通に、一定の補助金を出すことも効果的かもしれない。実家のお年寄りの家では、まだまだ自宅にネットを引いていない家庭が多い。(かくいう、私の実家もネットを引いていない)。ネット環境が整っているかどうかで、帰省して仕事ができるかどうかを判断しているのが現実だ。今や水道、電気、ガスなどのライフラインに、「ネット環境」というワードが次点で上がってきてもおかしくはない。
今回のコロナが収束するのは、はたしていつであろうか。もしかしたら、1年後かもしれない。もしくは2.3年続くのかもしれない。しかしいずれにしても、これが収束した後、我々と「実家」の在り方が大きく変わる可能性がある。今まで、都会の日常から完全に離れることが「帰省」の大きな意味だった。しかし、これからは、日常の仕事を行いながら、「地元」の良さを味わうことが、ひとつのスタンダードになるかもしれない。もしこれが促進されると、新しい日本の社会が生まれることだろう。
よく言われるようにピンチはチャンスである。この社会の変化を我々がどのように対応していくかで、これからの日本は未来は変わっていくのではないだろうか。
個人的にも、まずは、実家のネット回線を開くことから、始めてみようと思う。
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