自社内でリモートワークを実践する前に企業は、外部リソースを上手く使わなければいけない

 会社というものは不思議なもので、独特の文化がある。社内ルールも、社内での決済ルールなどの公的なものから、社員の服装などの文化的なものまで、様々な独自の文化があるように感じる。
 様々な企業にお伺いしているが、このあたりの企業の独自の文化は本当に興味深い。極端な例かもしれないが、相槌の打ち方、質問の仕方、なんてものでも企業は独自の共通項がある。それが良い意味で作用するケースもあるし、そうではないケースもある。
 このような様々なものが共通認識として成り立つ企業文化でも、かなり端的に分かりやすい文化がある。それが、「外部リソース」の使い方だ。プロジェクトを依頼する際など、まるでひとりの社員のメンバーのように手厚くサポートしてくれたり、あくまで外部サポートメンバーだが、接し方が「ひとりのお客様」として対応してくれるケースもある。またその逆で、残念なことに下請けとして雑に扱われることもあるし、存在自体すら周知されないケースもある。また発注というカードをチラつかせ、上手く情報やノウハウだけ外部リソースのかたから抜き出そうとする企業もある。いずれにしても企業のこの外部リソースの使い方はとても企業文化を表すひとつの事例といっても良いかもしれない。

リモートワークが企業でも実践され始めている。特にエンジニア系の職種のかたが対象だろう。おそらくこれからは、エンジニアだけではなく、営業職種や、ひょっとしたら管理職などへもリモートワークが導入されるかもしれない。とはいえ、一言でリモートワークといっても簡単にそれが実現されるわけではない。特に大企業だと、情報セキュリティなどの部分をクリアしなければいけないだろう。またモチベーション管理も今までと異なってくる。今まではデスクの近くにいる上司が部下をケアしていれば良いのだが、離れた場所で仕事をしてしまうとそれが困難になってしまう。このあたりもきちんとリモートワークを仕組み化しなければ難しくなるだろう。
 とはいえ、今後もおそらくこのリモートワークの流れは日本全体で加速していくだろう。しかしながら、これを上手く導入できるかどうかは、まさに企業文化によりけりになるのではないだろうか。

 前述したように、外部リソースを上手く使う企業は、おそらく社員のリモートワークに関して、そこまで障壁が高くないような気がする。外部リソースの協力を得ながら、彼らの能力を尊重し、結果をコミットしてもらう。当然、情報管理や外部へのマネジメントも重要だが、そもそも外部リソースを上手く使っていた企業は、このあたりを確実にクリアしている筈だ。
 しかしながら、外部リソースの使い方が上手くいっていない企業は、やはり社内のリモートワーク導入も難しいだろう。なによりも、そこには信頼関係の構築が前提になるが、それの構築がなかなかできない。また外部リソースへのマネジメントが上手く機能しないため、もし仮にリモートワークが実践されたら、「放置」されてしまう可能性もある。
 
 もし仮に企業でリモートワーク導入を考えている企業があれば、今一度、外部リソースとの関わり方を見直してみるのも良いかもしれない。
 そこには、自社内のリモートワーク導入への大きなヒントが隠れているかもしれない。