不動産業者数の推移を紐解いてみると、実のところ、若干増加しているようだ。0.6%程度なので、横ばいという言い方が正しいかもしれない。
いずれにしても、不動産業界は代表者の高齢化で実感としては、業者数は減っているような印象があるが、今もって宅建業の開業を行う企業は、それなりにいらっしゃるようだ。
今回は、実際、不動産業を開業すると決意して、実際に事業開始するまでの期間の目安をお伝えしたいと思う。
一般的な開業のイメージとしては、およそ3ヶ月程度ぐらいのイメージがあるかもしれない。たしかに2.3カ月で法人化(極端に言えば1日で会社はできる)はできるし、事務所も開設することができる。しかしながら、実際、不動産事業を開業しようとすると、半年程度見ておかなければならない。
あるあるの話だが、いつまで経っても開業ができない、出資者に怒られる、なんてことがないようにしなければいけない。ここでは開業までのステップをまとめてみる。
1.事業計画
当然だが、不動産業といっても売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理などいろいろなジャンルがある。どの業態でどのように事業を発展させるかを計画しなければいけない。周りの経験者などに話を聞いて、2.3年の事業計画を作らなければいけない。
2.資金調達、宅建主任士準備
資金調達の方法は、自己資金で行うか、投資家に出資してもらうか、など様々な方法を考えておかなければいけない。政策金融公庫などに相談してみるのも手だ。その際はしっかりとした事業計画書を作っておかなければならない。
また宅建主任士の免許を持っている場合は問題ないが、主任士の免許がない場合は、主任士も採用しなければいけない。
3.法人化
事務所を借りるのが先か後かの問題があるが、法人化を行う。今だと、freeeなどの開業支援などのサービスが一般化しており、かなり楽に法人化できる。法人登記の司法書士などの紹介制度もあるので、そこまで苦労せずに法人化ができるだろう。(ちなみに法人化の費用は20万程度)
4.事務所契約
法人化する前後、また資金調達が完了した段階で事務所を探す。仮に法人化をまだしていない場合、一旦個人名義で借りて、その後法人契約に切り替える。その際は必ずテナントに確認をしておかなければいけない。
また、この事務所契約が意外と大変だ。宅建業法では入口が独立している、そしてきちんとした仕切りのある壁を作らなければいけないという決まりがある。通常のテナントなら問題ないが、シェアオフィスなどで開業するのは、相当ハードルが高くなるだろう。
5.内装、什器備品手配
ここがポイントになるが、事務所開設後に宅建業の申請をするのではなく、先に内装と什器備品の搬入を終わらせなければいけない。宅建業の申請を行う際に、「事業が行える状態」というのが必要要件になる。特にコピー機や電話機、カウンターなどの設置状況も写真添付しなければいけない。いずれにしても什器備品を搬入しなければ宅建業を開業できない、ということを必ず忘れないようにしなければいけない。当然、そのためには、多少の資金も必要になる。
6.宅建免許申請
所定の申込書等や必要書類を準備し、事務所の写真を添付し、免許申請を行う。一般的には、供託所に直接保証金を預け入れるよりも、全宅連や全日連などの保証協会に加盟し、加入手続きを行う。供託所に直接預け入れる場合は1000万必要になるが、保証協会に供託した方が安価になる。(それでも諸々合計すると百万円程度は発生する)
7.協会の訪問、面談
申請が終わったら、各協会のかたが事務所に訪問し、簡単な面談を行う。特段、何かを聞かれることはないが、あくまで事務所の所在や準備が整っているかを確認するのが目的だ。
8.免許取得
面談が終わりしばらくして、各協会から連絡(おもに葉書)があり、ようやく宅建免許取得となる。この前後に各広告媒体などの契約を行う。
とここまでのステップを考えると、やはり事業開始まで半年程度は見ておかなければいけない。
この免許申請から許可が下りるまでは、かなりヤキモキする。また葉書の到着が気付かないことも多々あるようだ。
不動産を取り扱うため、かなり申請には厳格なイメージがあるが、少し前時代的なところもあるかもしれない。もしかしたら今後、申請方法も変わるかもしれないが、現在はこれに対応していくかもしれない。開業を考えているかたは是非参考にしてほしい。
0コメント