中澤佑二のボンバーヘッドに見る強みの活かし方

 先日、ぼんやり夜にテレビを見ていたらTOKIOの番組にサッカー選手を引退した中澤佑二氏が出演していた。
 中澤選手といえば、我々の世代では憧れのディフェンダーである。おまけに私と同じ年齢だ。2005年前後、ちょうどドイツワールドカップの時分では、中田英寿や中村俊輔など黄金世代と言われていた世代が日本代表を牽引し、国民の多くがサッカーに熱狂していた。そのなかでも中澤選手の気概というかオーラは、我々を魅了していた。

 あの当時に比べて、自分自身もサッカーを見る機会は、殆どなく(ワールドカップぐらい)、当時のサッカー熱もだいぶ冷めてしまっているが、それでも、当時の選手たちがテレビ番組などに出演すると、興味心で鑑賞してしまう。

 番組では、彼とTOKIOのトークで盛り上がっていた。バライティ受けをする当時のエピソードなどが語られ、私も普通に楽しんで視聴していた。
 番組の中盤になった時、中澤氏が元日本代表監督の岡田武史氏の話をし始めた。なんといっても彼は、マリノスを率い、そして日本を率いた日本屈指のサッカー監督である。
 その岡田監督が、当時、まだ自分のプレイの方向性が固まらなかった中澤選手に、ひとつのアドバイスをした。

 「いいか、弱みを伸ばすよりも、徹底的に強みだけを磨いていけ。そうすると、周りと差が生まれる。弱みを伸ばす時間よりも、強みを伸ばすことを優先して考えろ」

 要約すると、このような意味である。
 中澤氏は、自分自身曰く、足技やキックなどはJリーグの選手のなかでも平均以下だったらしい。しかし、その言葉を念頭に徹底してヘディングを磨いていったそうだ。そして、自分自身がキャリアの踊り場にいるときは、必ずこの言葉を思い出していたらしい。

これは当然、我々にも当てはまる。
社会人として生きていくためには、徹底な強みを磨いていくほうが効率も良いし、市場で生き残る価値も上がる。
 
 ベストセラーとなっている「ストレングスファインダー」という書籍がある。この書籍は、さまざまな質問のアンケートを行い、自分自身の強みを見出す本だ。ここでは、自分自身のオリジナルな性格や傾向から、自分の強みとなるキャラクターを見つけだすことができる。長く読み継がれているベストセラーだし、今でも多くの企業が研修に取り入れている。

 しかし、この本で提唱している「強み」と中澤氏が伸ばしていた「強み」、という意味合いはほんの少しだけ異なるような気がする。
 彼の強みというのは、言い換えれば「専門性」みたいなものかもしれない。ヘディングというのは、プレイの1つの動作であり、キャラクターやら性格とはなんの関係もない。
 おそらく当時の岡田監督が彼に求めていたこともこの「専門的な強み」なのだろう。
 
 現代において、マルチタスクをこなしていくことは、ビジネスマンでは必須のスキルなのかもしれない。大量の情報を処理していかなければ、なかなか自分の市場価値を見出すことは難しい。
 しかしながら、忘れてはいけないのは、それでも自分自身の「専門的な強み」を伸ばし続ける努力を怠ってはいけないように感じる。
 それは、エクセルでもパワポでも、プログラミングでもアイデア力でもなんでもよい。
これだけは負けない、という専門性を見つけ、それを磨くことで道は開かれると感じる。

 手に職をつけるという言葉は、昔の言葉ではないのだ。




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