20代で身に付けるべき、たったひとつのもの


 世の中には、ありとあらゆる自己啓発の本があり、特に20代のかたに対しての啓発本は非常に多い。若いうちに何を身に付けるべきなのか、またこれからどのように生きていけば良いのか、これらを指南する本や、ノウハウは世の中に溢れている。
 
 しかしながら、実のところ、本当に20代で必要なスキルはなんだろう?と考えると、個人的にはひとつしかないと思っている。

 私自身、20代の頃、どのような時代を送ってきたのかと考えると、とても一言で言い表すことができない。これは、私だけではなく、他の方も同様だと思うが、20代前半と後半とで大きく環境も違うし、自分が行なっていたことも違っていた。
 20代の前半は、まだ大学生だったが、後半は、サラリーマンで結婚間近だった。環境の変化はとても大きなものだ。

 そう考えると、それから数十年経ち、ではどのようなスキルを身につけたかと言えば、全く提示できるものはないかもしれない。しかし、そのなかで、唯一これだけは必要なのではないかと思うものがある。

それは「人脈」なのかもしれない。
 
 ずっと以前からつくづく思うが、「人脈」が仕事の大半、もしかしたら全ての鍵となる。仕事の幅を広げたり、次のステップに行くためには、他の人の協力が必要不可欠だ。
 それは、社内の人間かもしれないし、社外の人間なのかもしれないが、どれだけの人と関わり合うことができるかがとても重要な要素を持つような気がする。
 その仕事のキモみたいな人付き合いの重要性を20代のうちに理解できるか否かは、とても今後のキャリアで差を分けるであろう。

 自分自身思い返してみても、私一人で切り開いてきた仕事は、皆無に近い。先輩に仕事のノウハウを学び、同僚や後輩に生き方を勉強し、取引先に仕事のルールを学んできた。
  
 もっと具体的に言えば、現在の仕事を導いてくれたかた、もっと先のステージに向かうための後押しをくれたかた、また家族や友人などの出会い、ほとんど全て、「他人が介在している」。
 それほど人と人との出会いは貴重である。
 
 何も20代の頃の人脈が大事だと言うことではない。あくまで人脈の大切さをどれほど理解できるか否か、ということが重要かである。
 30代になると、その人脈を活かした実積が求められることになる。
 
 では、そのような人脈を広げたり、深めたりするコツは何かと問われれば、それは「見返りを求めない」ことかもしれない。
 人と付き合うなかで、目の前の結果だけで、その人との付き合いを判断しないこと。また人を見る目を養うために多くの人に会うことが、とても重要である。世の中には自分と違う人間がいること、そして彼らから何を学ぶことができるかを考えること。
 それはもしかしたら反面教師的な要素になるのかもしれない。しかしながら、そのような人と人との付き合いを通して、自分という存在を理解することが、まずは大切なことだろう。
 世界は広く、また人と人との付き合いは無限大である。
 

人脈の重要性