不動産会社のクレーム対策としてハインリッヒの法則を使いこなす

 不動産会社において、クレームやトラブルは切っても切れない関係だ。
 これは一物一商品が故の性がゆえなのか、また不動産特有の購入機会(あまりユーザーが購入、および契約しない)なのか、定かではないが、なかなかクレームをゼロにすることは難しい。
 
 クレームの種類も、応対などのサービスによるものだったり、契約によるものだったり、物件自体によるものであったり様々である。
 当然、業種問わずクレームが発生すると、幹部職、また担当者は膨大な時間を取られてしまう。

 なかなかこれは疲弊してしまうことだ。

 嵐のような対応に追われ、ようやく落ち着きを取り戻した後で、通常の業務に戻ることができる。

 ハインリッヒの法則という言葉がある。

 これは保険会社に勤めていたハインリッヒという人物が導き出した労災の経験則によるものである。
 法則の中身としては、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものだ。



これは労災だけではなく、クレームやインシデントでも当てはまる法則に思われる。

 ひとつの大きなクレームが発生した場合、この後に30の軽微なクレームが発生している可能性があり、その下層には300近くのクレームの種が埋まっている。
 
 ここで企業側が実施するべきところは、まずハインリッヒの法則で言うところの30の軽微な事故の調査だ。
 調査を行うことで明らかになるものもあれば、顕在化しないものもある。しかしながらこれを調査し、整理することでボトルネックの特定ができる。

 さらにそこから300の異常の存在を取り除くシステム構築(仕組み作り)を実施する。
 これはチェック機構であり、組織風土の見直しであり、ソフト面、ハード面両方からのアプローチが必要になる。

 たとえば、接客応対のクレームに対し、まず類似案件を調査、および原因の特定をする。
 売上至上主義に陥っていなかったか、また採用、育成段階でこのあたりを実施していなかったか。

 そして、そこからハード面(たとえばシステムとしてアンケート調査を実施し、計測化)、ソフト面(接客研修等実施)の両方からアプローチしていく。
 これにより、氷山の一角を潰すのではなく、水面下にあるクレームの山自体を無くすことができる。

 勉強代、と言う言葉があるように、ひとつのクレームを処理した後、「この案件はたまたまだった」と考えずに、それを掘り下げるのとで、逆に企業として成長することができる。
 今一度、クレーム対応を見直してみても良いかもしれない。



 不動産会社の働き方改革