反響数だけではない売上指標【賃貸仲介会社】

 11月下旬に差し掛かり、クリスマス商戦の季節がやってきた。毎年、この時期になると、おもちゃ屋さんでは、多くのユーザーが、自分の子供のためにクリスマスプレゼントを買いに来店する。 

 現在は、Amazonなどのオンラインサービスでおもちゃを購入することが多いが、それでもやはり来店する人は、まだ多いだろう。彼らは、明確に「いつまでに」、「しかるべき理由で」プレゼントを購入するのかが決まっている。
 当選、おもちゃ屋は、この時期がかき入れ時なのは間違いない。

 不動産賃貸仲介会社にとって反響数というのは、大きな売上の指標になっている。いわゆる、反響の総数を鑑みて、およその売上予測数字をたてることができる。たとえば100本の反響数に対して、売上は〇〇百万円のように。

 たしかに不動産会社にとって一番難しい作業、また骨の折れる作業は、どのように検討中のお客様を見つけてくるか、だ。このために、仲介会社は、懸命にポータルサイトに物件を入力したり、いろいろな企業、団体と提携したりする。かなりの業務の時間を「集客」に充てているのが現状だ。
 
 そうなると、この反響総数という分母を売上指標とするのは、至極まっとうに見える。実際、分母が取れていれば、ほぼ間違いなく売上は上がっていく。
しかし、なかにはそうならないケースも稀にある。反響数が増えてもそんなに売上数字には直結しない。また逆に反響数が少し減っても売上が増大することもある。

 ユーザーの引っ越し理由は、様々である。もちろん、転勤や進学などの場合はユーザーの購入時期の「お尻」が決まっている。これは、上記で述べたようなクリスマスまでにプレゼントを買わないといけないおもちゃ屋に来店する親のようなユーザーと同じ属性だ。
 購入する理由は明確であり、また強い購入の意思がある。

 しかし、なかには(といっても殆どかもしれない)、「良いのがあれば」、と思い軽い気持ちで部屋探しをするかたもいる。これは悪いことでもなんでもなく、当然のユーザーの希望だ。しかしながら、営業的な観点で見ると、決して確度が高いユーザーではない。

 以前に、反響数が増大し続けている店舗があった。しかし、売上は横ばいを続けていた。店長も幹部陣も首を捻っていた。
 マネジメントが弱いのではないか、営業力が落ちているのではないか、と皆、考えていたが、よくよく反響の分析をしたところ、興味深いことが判明した。
 以前、反響が足りなかったこの店舗は、エリアや価格帯を変え、反響増加施策を行った。これにより、ユーザーの質が変わってしまっていた。つまり確度の高いユーザーは、減少し、確度の低いユーザーが増加した。それによるクロージングのタイミングや営業スタイルの変化に対応しなかったため、取りこぼしてしまっていた。

 もうじき不動産会社も繁忙期の時期である。

 「分母」という反響数を増大させる施策を様々な会社が打っていくだろう。
 しかしながら、引っ越しの理由という「分子」をどのように分析し、またどのように獲得していくのかも同様に重要な繁忙期対策になるかもしれない。

 
反響獲得方法



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