柴犬と暮らす人生

 我が家には10歳の老犬の域に達した柴犬がいる。今、自分が40歳なので30代の全てを彼と過ごしてきた。
毎朝、朝5時か6時には、私か妻が散歩に行く。この10年で働き方や環境も変わったのでその時の状況に合わせてどちらが散歩に行くかを決める。

思えば、ペットがいることといないことで、おそらく自分の人生は大きく変わっていただろう。家庭での会話や生活スタイルなど、もしペットがいなければ、どのような生活や人生を送っていたかわからない。

ペットを飼うことは、とても大変な部分もある。まず旅行はそんなに頻繁に行けない。犬が宿泊オッケーなホテルは人気でなかなか予約が取れないし、犬自体にストレスもかかる。また餌や水などの世話、また病気になった時などの対応など、いろいろなことがある。当然、長期の家族での海外旅行は行けない。
それでも、犬と生活して得るものは、とても大きい。心を豊かにし、家族との会話を促進し、子供には命の大切さを教えることができる。

昨今のペットブームで、犬猫のペット総数は2000万匹弱だ。
そのなかには、残念なことに、捨てられたり、殺処分されたりもするペットもいる。またそうはならないにしても、ワンルームで延々と留守番をして帰りを待っているペットもいる。そういった話を聴くととても辛い気持ちになる。

ペットの寿命が延びているにしても、彼らは我々人間より当然長く生きることはできない。そのなかでしっかりと我々は、彼らの一生を素晴らしい一生にする義務がある。

ペットと夜に近所を散歩していると、不思議な気持ちになることがある。10年間、ずっと生活をしていると、不思議なもので、心を見透かしお互いの気持ちが通じ合っているような感覚になることがある。
それは、言葉だけではない大きな信頼関係だ。そのような信頼関係を果たして同じ人間同士で築くことができるだろうか。おそらく不可能に近いだろう。我々は言葉で取り繕い、利害関係などが信頼関係構築の邪魔をしてしまう。
10年同じ屋根の下にいるペットのために少しでも彼が幸せな一生を送ることができるように、いろいろとサポートしていきたいと思う。