【経営戦略7】組織の構造、組織の基本体系〜M&A〜

 前回まで、企業の戦略立案の方法等を紹介してきたが、今回からは組織の構造をまとめていきたいと思う。
 昨今のコロナの影響もあり、企業組織は大きく変わろうとしている。しかし働き方や表面的な組織が変わっても、実際のところ、構造自体はそこまで大きな変化は起きない。組織の基本構造を理解して、はじめて新しい組織の体系を考えてみるのも良いかもしれない。

 また、大半の企業が経営戦略を実行していくいうえで、この「組織」の問題というハードルにぶつかる。組織活性はそのような意味でも、企業にとって最重要ポイントであるのは間違いない。

1.組織とは?

 ・組織の要素

 組織の基本的な概念として、組織の3つの要素を理解しておかなければいけない。
 それは、「共通目的」と「貢献意欲」と、「コミュニケーション」という3要素である。
 組織は共通の目的を持ち、そこで働く人々は、貢献意欲(共通目的のために貢献したい)を糧にコミュニケーションを図りながら業務を進める。当たり前なところだが、この要素が欠けると、組織は成り立たなくなる。
 ちなみに、組織で働く人間は、「貢献≦誘引」の均衡条件がなければ働かないと言われている。わかりやすい例にたとえると、〇〇をやったら△△△の報酬が得られるという誘引がなければ、そこで働く人は、貢献する意欲がなくなるのだ。

 ・戦略との関連

  戦略と組織は当然大きく関連している。しかし、戦略が先なのか、組織が先なのか、もっと突っ込んで言えば、「組織は戦略に従う」(チャンドラー)のか、「戦略は組織に従うのか」(アンゾフ)という問いに対して、明確な答えはない。おそらく企業や戦略によって、どちらも言えるところがあるだろう。


組織の運営

 ・組織のライフサイクル

 起業者段階→共同体段階→公式化段階→精緻化段階
 組織にもライフサイクルがある。組織は当初、起業家の強いリーダーシップからスタートする(起業者段階)。ここでは、リーダーの強いカリスマ性がものをいう。リーダーのアイデアと推進力が、事業を育てていく。
 そして起業者段階を抜けたリーダーは、次第に部下に権限委譲を始める。こうしてリーダー一極集中の組織から徐々にメンバーの存在感が強まる組織に変容していく。(共同体段階)。
  共同体段階を続けていくと、その権限は誰のものなのか、またどこまでの範囲なのか、など諸々の取り決めをしなければいけない。たとえば稟議の回覧順などのような組織を回すために必要なものをルール化し始める。(公式化)
 こうして組織は、公的なものになり、所謂組織的な運営が始まっていく。
 しかし、残念なことに、ここまでたどり着いたかなり多くの企業は大きな落とし穴に落ちてしまう。それはこの公式化された企業が、官僚的になり、組織として硬直化してしまい、自分たちの作ったルールに縛られてしまうという現象が生まれることが往々にあるのだ(官僚性の逆機能)
 この官僚性の逆機能を打破するために、たとえば情報共有のルールを見直したり、プロジェクト組織を運営したりなど、様々な打ち手を打っていく。
 そしてこの官僚性の逆機能を打破しながら、より組織は精緻なものになっていく。(精緻化段階)

・環境変化への対応

 環境状況によって組織は変化対応するべきなのか、それとも変化対応しないほうがよいのか。
 組織のコンティンジェンシー理論という理論によると、「環境により最適な構造は異なる」と言われている。たとえば安定的な環境の際は、官僚的組織がうまくいき、不安定下の組織では、水平的で自律的な組織のほうがうまくいく。このように最適な組織は、外部環境によるところがあることを忘れてはならない。
 

3.組織の設計原則
 また組織の設計原則をかなり多くの企業が忘れてしまいがちになる。組織内での問題はこの設計原則から逸脱した際に多く起こりうる。自社の組織でも以下の組織設計原則が遵守できているか、今一度確認してみてもよいかもしれない。

 組織の設計原則
 ・専門化の原則(組織役割は専門的に任せる)
 ・権限、責任一致の原則
 ・統制範囲の原則(どこまでマネジメントするのか)
  ・命令一元化の原則(命令系統は一本に絞る) 
  ・例外の原則(権限を委譲する際のルールの明確化)


 組織形態
 現代では様々な組織形態があるが、その基本体系は、ラインアンドスタッフ組織によるものである。ラインとは、営業などの主活動、スタッフとはそれを支援する機関である。基本はこの体系で組織は成り立っている。
 ここからは現代の企業の組織体系をまとめてみる。

 ・機能別組織

 機能別組織の利点は、その専門化により効率化が図られることだ。また管理者権限も明確であり、統制が図りやすい。しかし管理者負担が大きく、組織が硬直化しやすい(官僚性の逆機能)ところが欠点だ。

 ・事業部制組織

 プロフィットセンターとして、分権管理が行われる事業部制組織は、迅速な意思決定が実行され、トップの負担が軽減される。また管理者を育成しやすいことも利点のひとつだ。しかし、機能の重複やセクショナリズムが起きやすくなり、また短期的な視点から物事を判断しがちになってしまう。

・カンパニー制

 事業部制組織がプロフィットセンターならばカンパニー制はインベストセンターの要素を持つ。利点は経営責任が明確であり、意思決定が迅速であることだ。しかしながら、カンパニー間の連携の難しさや本社の意向と子会社との調整が難しい点が欠点としてあげられる。

・マトリクス組織

 格子型組織といわれるマトリクス組織は、複数の命令系統があるため、かなり柔軟な組織運営をしなければ対応は難しいだろう。
 しかし機能、事業別のメリット追求ができ、人材共有ができるのが利点だ。しかしながら、ワンマンツーボス制度のため、運営をうまくしていかなければならない。マトリクス組織は、それを運営する場合、非常に難易度の高い組織であることを理解して、運営していかなければならない。

 以上のように組織では、ある種、体系化された「型」のようなものがある。

 マネジメントなどで苦慮している代表者、幹部のかたは、今一度、自社の組織体系を見直してみても良いかもしれない。