不動産会社の開業する際、多くのかたが元々不動産会社で勤務して、数年修行し、独立するケースが多い。
しかしながら、未経験でも不動産会社の開業はできる。更に、上手くいけば、未経験でも充分な売上と収益を上げることができる。
これから不動産会社を立ち上げる場合に現実的に必要なものと、スキル、ビジネス戦略的な部分をまとめたいと思う。
1.不動産会社開業に必要な資格、資金
宅地建物取引士の資格
宅建を他人にお願いして登録するのは、基本的に違法だが、それ以前に宅建の知識は、実務を行う面でかなり必要になる。宅建は、民法、宅建業法、税法などの大まかな知識が必要になるが、そのなかでも宅建業法は、かなり独立する際には必要な知識となる。
まず不動産開業を考える際に、宅建取得を前提に考えたほうがよい。ちなみに複数人で立ち上げをし、そのメンバーが宅建を持っている場合は、立ち上げ自体は問題はないが、しかし仮にその初期メンバーが抜けた場合は、宅建免許が、また必要になる。リスクへッジを考えても、宅建は取得しておくべきだろう。
事務所、什器備品
事務所も借りなればいけないが、事務所兼自宅でもキチンと部屋ごとに仕切りがあれば問題ない。仲介業をメインで行う場合は、最低限の来客スペース等は確保しておくべきだろう。
また開業の際には、固定電話、PC、プリンター、ファックス(!)が必要になる。当然、電話付ファックスでも問題ないだろう。悲しいかな、不動産取引は未だにファックスのやり取りをすることが多い。少なくても、ファックスの番号取得を行いPCで取り込むようにしておかなければいけない。
資金
保証協会の加盟金、事務所契約の初期費用、また法人がなければ法人の設立の費用を考慮すると、多めに見て、500万程度の資金は必要なところだ。しかしエリア、地域によるが、仮にサイドビジネスではなく、不動産業をメインに行う場合は、最低限でも1000万円ぐらいあったほうが、かなり余裕を持って、事業を推進することができる。
もっと言えば、それなりの店舗を構え、スタッフを数名雇い入れるとなれば、1500万以上は必要かもしれない。
2.スキル
対人能力
なによりも不動産業では、様々な売主、買主、借主、貸主と会う。ここでは、最低限の対人スキルが必要だ。顧客と相対する時に、顧客のヒアリングが出来なければ、ほぼ成功できない。当たり前といえば当たり前だが、会話がキチンとできる、これがまず必要だ。
人脈
広告費用をかけても、なかなか成約には結びつかない。まずは、友人や知人の借りたい、買いたいの要望を満たしていくことからスタートする。その際には、人脈が必要だ。なかには、とんでもなく広い人脈を利用して莫大な売上を初年度で上げる人もいる。不動産業が人のビジネスと言われる所以だ。
また、余談だが、顧客だけでもなく、取引先、同業者の知り合いも多ければ多いほどよい。初期は、実務の経験者からのアドバイスは、かなり心強いし、また案件なども共同に行うこともできる。
継続力
不動産を広告したり、顧客のニーズに合う物件を継続的に提供する際には、日々のコツコツとした業務が重要になる。このあたりの継続性、悪く言えばしつこさは、かなり事業を推進していくうえで必要なスキルだ。
不動産実務知見
セミナーや研修などで、最低限の不動産取引の流れは身につけておかなければいけない。業務の常識的なレベルで案外最初はつまづくものだ。ある程度、最初は積極的に学んでいくことが必要になる。
3.ビジネス戦略
エリア限定戦略
エリアに特化して、ビジネスを行うパターン。ホームページを作成し、エリアの不動産情報を網羅し、また地域コミュニティにも顔を出す。取引は、当社は、賃貸仲介がメイン、たまに売買仲介。そして、時間が経てば賃貸管理を行うのが良いだろう。
しかしながら、人気のエリアは地元の不動産業者がエリアを抑えている場合が多い。まだ未開拓で、しかもマーケットチャンスの高いエリアをキチンと選択できるかが鍵となる。
人脈仲介戦略
とにかく自分のリソースである人脈を駆使して、ビジネスを推進するケース。これはこれでかなり手堅く成功できる。しかし生半可な人脈だと、直ぐに枯渇することになる。定期的な顧客のアプローチと、フォロー、さらに人脈開拓を行い続けなければいけない。ちなみに投資家などの知り合いが多いかただと、不動産投資案件も扱えるので、これはかなりインパクトが強くスタートダッシュできるだろう。
テック系
IT力を駆使し、ウェブ上で戦うパターン。最近の不動産会社のスタートアップでもこのような会社は増えてきた。ある意味では、人というリソースを最低限抑えて、テクノロジーで戦うという戦略は、真っ当に見えるが、実際のところ、かなりの開発資金が必要になる。また不動産ユーザーをウェブで獲得するのは、生半可なことではできない。何よりもポータルサイトのメディア力もあるし、SEO、SNSを駆使した先行の不動産会社が既に存在している。このあたりの隙間をどう狙うかが鍵となる。
サービスセグメント型
たとえば、ペット限定、たとえばリノベーション限定、たとえばタワーマンション限定など、物件、ユーザーにセグメントをかけサービスを提供するパターン。サービスの切り口をよく研究することが大前提になるのと、キチンとプロモーションを継続しなければいけない。実務とウェブ戦略を上手くバランスを取って、推進していけるかが鍵となる。
不動産会社は昔と違い、気軽に設立できる業種でもなくなった。しかしながら、事業の面白さは本当に類を見ない。
不動産会社立ち上げのかたは、是非ご参考にして頂ければ幸いです。
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