今期の繁忙期を振り返り、来期の戦略を立てる

 このあいだ、年が明けたと思ったら、あっという間に春だ。3月ももうすぐ終わろうとしている。気温も上昇し、新入生、新社会人のかたが新たな門出に向かう季節になってきた。

 不動産業界の繁忙期ももうすぐ終わろうとしている。とはいえ、賃貸管理会社は、ここから怒涛のような物件の引き渡しが始まる。3月の終わりから4月の頭は、新築物件の引き渡しだけではなく、既存物件の退室点検、原状回復、そして引き渡しの時期が集中する。まさにこの時期がピーク中のピークだろう。

 しかしいっぽうで、不動産賃貸仲介業は全体的にこの2.3週間で反響等も落ち着いてきたように感じる。この時期は仲介業務としては、契約決済や駆け込みの来客対応などが多いだろう。
 この3月が終わり、4月になった時点で、仲介会社は1年の振り返りをしなければいけない。この1年で反響数は増えたのか減ったのか、またそれぞれの営業成績を見直し、歩留まりを検証し、次の繁忙期に備えなければいけやい。
 
 全体としてこの繁忙期は、仲介会社は、明暗がかなりはっきり分かれた年だったような気がする。良い結果だったところとイマイチだったところの差が激しい。

 とにかく年々、東京都心は物件が少なくなっており、かなり現場の営業力が重要だったことは間違いない。営業効率化のツール、AIなどが威力を発揮した年というよりも、今年は、いや今年も「人」と「戦略」がモノをいった繁忙期だった。はたしてそれが来年もそうなるのかどうかはわからない。

 やはり今のところ、仲介店舗は、人に起因するところが多いのだろう。勿論、ビジネスモデルや運営の仕組み化が前提条件としてあるが、ミクロ的な視点で見ると、やはり店長の育成であり、人材の定着であり、細かい戦術が重要であると現場のヒアリングをすればするほど、つくづく感じる。

 この3月が終わった時点で、仲介会社は、戦略設定等を行ったうえで、ある程度、人材の確保や育成なども視野に置くと、かなり来年度の繁忙期は明るくなるのではないかと感じる。各都市、街の人口流入動態はある程度予測もできるし、大きなマーケットの変化が来年訪れるわけでもなさそうだ。(これはあくまで賃貸仲介市場だけに限定される。不動産業界全体は大きな変化の予兆は感じられる)
 
 また面白いもので、この繁忙期に成功された仲介会社の共通点は、「人材確保」と「定着」だった。失敗の要因は、様々だが、成功要因が人に起因しているのは、大変興味深い。

 4月はリスタートを切る最高の月である。
 この月に事業の戦略策定と、人材採用から育成までを含めた戦略を行うことで来年の成功の可否が決まるかもしれない。

 段取り八分と言われるように、どのような準備を行なっていくかで、1年後の結果は大きく変わる。

 既に来期は始まっているのかもしれはい。