仲介業務→管理業務のシフトへの注意点

 賃貸仲介業務を行っていると、殆どの会社は、以下のような希望、願望が生まれる。

 「管理物件が欲しい」

 こう思うのには、それなりの理由がいくつかある。
 まず第一に客付の仲介業務だけだと、季節要因に左右され、売上が固定化しない。
 繁忙期ならまだしも、閑散期はやはり仲介業のみでの運営は、厳しくなっている。
 そう考えると、ストックビジネスとしての不動産管理業を行うのは至極納得のできるところだ。
 また、管理物件を取得していくと、客付業務にも良い影響が出る。具体的に言えば広告に関して、一次広告が出せるので、反響の増加および、成約確度の増加が見込まれる。

 そう考えると、管理物件を増加させるのは一石二鳥のように思われる。
 しかしながら、実際のところ、客付メインで業務を行っている企業が、管理物件を増やすとなると、意外と様々な障壁が生まれてくる。
 このあたりの理由をいくつか考察してみた。

1.業務分掌がないため、どこまで獲得業務に時間を裂けば良いのか明確ではない。
 仲介業務は、今や物件を出したり、追客を、行ったりと、とても、多岐に渡っている。
 そのなかで管理物件獲得を行うのは、どのようにそれぞれの時間配分を行なっていくのかを整理しなければ、難しい。 
 ユーザーに部屋を紹介するのと、オーナーの物件を任せてもらうことは、似ているようで大きく業務は異なる。

2.売上のキャッシュポイントのタイミングが客付業務と、管理業務は異なる
 仲介業務だと当月で売上見込みが立つものは、その月で立つ。なかには広告料の支払いなどで、タイミングが若干遅れるが、それでも2、3ヶ月後のタイミングだ。 
 また反響から成約までの時間もせいぜい1ヶ月程度である。

 しかしながらオーナーとの商談から売上に至るまでの期間は、それなりの時間を要する。セールスステップを汲んでのタイミングが客付業務よりも長いため、そこをコントロールしていくのが難しい。
 客付業務は完全にtoCのタイミングなのに対し、元付業務は、toBの要素が多分にあるため、このタイミングに「組織が慣れる」かが意外に重要だと思う。

3.戦略的な獲得計画を立てられるかどうか
ただ、やみくもに物件を取りにいっても、かなりの確率で失敗する。(もしくは疲弊してしまう)
 物件をどのような方法で増やしていくのかを整理し、獲得計画を立て、そこに対し「戦略的に」動かなければいけない。
 仲介業務ならば、かなり細かく戦略を立て、どのように売上を上げていくのか考えるのだが、どうしても管理物件増加となると、付け焼き刃的になりやすい。
 まず戦略策定をしっかり決めることが物件を獲得することでは、重要になってくる。

 以上のように、事業シナジーを生むために、管理物件獲得は客付会社にとって大切な要素になるが、見落としがちなところも多い。
 まず冷静にどのように獲得していくのかを計画立て、PDCAを回していくのかを考えるのが必要な前提条件だ。

 仲介の強みは、強い客付力と借りる側の顧客のニーズを知っていることだ。そこはオーナーも強く求めているところ。

 そのための段取りは、決して軽視してはいけないと思う。




 物件獲得手段まとめ