引っ越しの初期費用高すぎ。

日本人の人生で引っ越し回数は4回程度らしい。一般的には、独立した時、社会人になった時、結婚した時、そしてマイホームを購入した時だ。
これが多いと感じるのか、少ないと感じるかは人次第だが、たとえば、とある人はずっと実家や地元で一度も引っ越しをせず終わる。またとある人は、一年に一度住む場所を変える。

海外も含めると、この日本の引っ越し回数が少ないわけではないだろう。たとえばどこかの国の限りなく自活に近い生活をしている人は、おそらく移動という概念が少ないのではないだろうか。
そう考えると、日本という国では特に一次産業に従事しなくてはいけないという縛りもなく、自由に情報が得られる時代の今となっては、もう少し自由にコロコロ住むところを変えても良いじゃないかと思ってしまう。

そのなかで障壁の高さとなるものが、初期費用である。明らかに自分の周りでは、住むところを頻繁に変えている人は、所得がそこそこ高い、いやもっといえばかなり高い人が多い。
引っ越し費用は、一般的に賃料の4ヶ月分以上発生する。礼金1ヶ月、敷金1ヶ月、初回家賃1ヶ月、仲介手数料1ヶ月(無料や半月のところも多い)、さらに保証料金、保険代などを合わせると優に4ヶ月以上発生する。仮に80,000円の賃料のところを借りたら、320,000円の初期費用が発生する。
現在、30万以上の買い物をすることは、日常的にどれぐらいあるだろう?高級な家電、家具でもそこまでしない。
また様々なサブスクリプションモデルが生まれることにより、車ですらシェアしている時代に、初回一発で数十万の買い物は明らかに度を越して高く感じる。

サブスクリプションモデルのビジネスモデルが生まれ、引っ越しの障壁を下げるのか、それともそもそもスタイル自体が変わっていくのかはわからないが、いずれにしてもこの辺りを変革しない限り大きな業界変革は起こらないのではないだろうか。
民泊などが、流行ることで少しずつ住のスタイルは変わりつつあるが、まだまだスタンダード化は遠く感じる。

また引っ越しの面倒さの拍車をかけるのが、手続きの面倒さである。
免許証のコピーや個人情報の開示は必要だと思うが、住民票や印鑑証明、また保証人などとても提出書類、手続きが面倒だ。
ホテルだと電話して、最初に決済すればそれで完了。民泊も同じようなものだ。
普段見もしない契約書やかたちだけの重説など、オンライン重説などでウェブでの手続き等が発達しているが、まだまだ根本的な改革が必要だと思う。

極端に初期費用が安くなれば、そこから日本人の住の価値観は大きく変わるだろう。

南総合研究所

株式会社 南総合研究所