今日1日が上手くいったかどうか、がモチベーションの源泉

 中小企業に対する課題解決やスタートアップの企業の運用のアドバイスなどを行っているが、最近特に思うことがある。
 それは結局は、日々の積み重ねでしか物事は前には進めないという現実だ。

 昔、偏差値が極端に低い私は、なんとか大学に行こうと勉強していた。しかし、当時の私にとっては、大学合格なんて夢のまた夢。とても大きな山を登るような感覚だった。人間誰しもそうだが、途方もない大きな山を見上げると、モチベーションが上がるというよりも、極端に下がってしまう。高すぎる目標は、ときにはとんでもない徒労感を生み出してしまうことがある。
 その当時の私は、その山を見上げては、登ることを投げ出し、怠惰に流れていた。受験生であれば、このような経験は多くの人が経験することかもしれない。
 しかし、このような高い山が人生において現れることは、受験生だけでも、スポーツ選手だけでもない。社会に出ても起こりうることだし、企業、組織でもよく起こりうる。

 受験生だった当時の私は、あるときに腹を決めたことを記憶している。

 「とにかく今日の目標をやり切ろう」

 それから先はとてもシンプルに毎日を過ごした。とにかく今日のやるべきこと、今日のタスクを全力で行う。1日、1日、牛歩の歩みかもしれないが、ゆっくりと進んでいく。
 そうした日々を過ぎていくにつれ、徐々に自分のなかで不思議な自信みたいなものが生まれ始めた。
 また日々少しずつでも前進していくだけでも、明日の行動や明後日の計画もより良くなっていく。
 ありがたいことにそれなりに成績も上昇し、それなりに受験勉強も乗り越えることができた。

 さて、それから20年程度経過し、企業の様々な課題解決のお手伝いをするようになった。企業というのは、ゴーイングコンサーンが大前提だ。継続し、成長し続けることが命題としてあげられる。継続成長するためには、高い目標を掲げ続けなければならない。そして高い山に登り続けなければならない。しかしながら、その際、細かいKPIを設定し、日々をクリアすることを想像すると、なかなか気分的には重くなる。

 だご、今日1日だけの達成、だったからどうだろうか?高い高い山を見上げるのではなく、足元の小さな丘だったら登れるかもしれない。
 もし仮にその丘が登れたら、モチベーションは程度はあれ、上がることには違いない。
 
 PDCAという有名なフレームワークがある。Plan、Do、Check、Actionのサイクルを効率良く回すべきだというフレームワークだが、このDoのところを1日というタームで区切っても良いかもしれない。この1日が実行できたか、それとも実行できなかったか、それがモチベーションの源泉になる。そしてそれを繰り返すことで、様々な改善が図られる。

 時間は平等である。スキルや目標の差は人によって差がある。しかし、今日できたか、できなかったか、はその人次第である。そこには能力の差は関係ない。

 まず、今日という1日を乗り越えてみよう。
 気づけば大きな山の登頂に成功しているかもしれない。