飯食った後に話そう(悩みと食事の相関性)

 約20年ほど前のことになるが、何か悩んでいた(今になってはその悩みすらも覚えていない)私は、自分の部屋で、とある友人にその悩みを相談した。当時、学生だった自分は、おそらくこれからの生き方や働き方などを相談したに違いない。ずっと話しを聞いていたその彼は、一言こう呟いた。

「とりあえずメシ食ったほうが良いよ」

その後、2人でご飯を食べにいき、お腹いっぱい定食を食べた。ご飯を食べた後は、不思議と悩みが無くなっていた。2人で大いに笑い、軽い気持ちで別れた記憶がある。

それから自分も就職をし、仕事をするようになり、キャリアを重ねるにつれて、よく後輩からいろいろな相談を受けるようになった。
転職の相談、今の人間関係、そしてプライベートな悩みなど。
その時に最終的に自分が、伝えるアドバイスはこうだ。

「とりあえずメシ食え」

これをずっと続けていると、ある不思議な感覚を持つようになった。ご飯を食べる前の悩みと、ご飯を食べた後の悩みや解決方法が少し違うことに気付き始めた。
たとえば昼前のミィーティングや応対など、どちらもが空腹時の場合は若干刺々しく感じたりネガティブな結論に行きやすい。しかし食後のミィーティングは、少し前向きになったり、食後の悩み相談は解決に向かいやすいような気がした。
よほど20年前の印象が強かったのだろう。重たい相談ごとの時には、この言葉を今でも必ず使うようにしている。

とある刑務所で仮釈放の申請を承認する刑務官が、それを承認する際、食事前と食後の承認数は3倍も差が出るそうだ。
食事前よりも食後の承認のほうが3倍の数が多い。

また科学的にもセロトニンという物質が、人間のイライラするストレスなどを軽減する。
そのセロトニンに含まれるものにアミノ酸がある。アミノ酸が含まれている食べ物を食べたり、ビタミンCを取ったり、大豆や牛乳などのタンパク質でトリプルトファンというセロトニンのなかにある物質を摂取することで人はリフレッシュした気持ちになる。
また炭水化物も集中力を向上する効果がある。経験した人も多いのではないだろうか?炭水化物ダイエットを行うと、やたらイライラしたり、集中力が散漫になった経験を。

人間の心と体は驚くほど相関性が高い。
まず悩んでいる人と話す機会があれば、その悩み自体を解決する前に、彼ら彼女らに、しっかりとした食事を摂らせ、しっかりと睡眠を促すことも、とても重要なのではないだろうか。

南総合研究所

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