不動産業務について2つの考え方

 不動産では、よく元付、客付という言葉が使われる。元付というのは、オーナーさんから直接物件を預かる、もしくは募集を依頼されその業務を行うこと。客付とは、読んで字の如くで、入居者を探しお部屋を契約することだ。ものすごく業界内では一般的なことだが、実を言うとこの元付、客付の立場において業務が大きく変わる。
 不動産仲介業務において、一次広告と二次広告の違いはとても大きい。不動産ポータルサイトでは、ひとつの物件で複数の不動産会社が広告に掲載している。これはどこかの元付不動産会社から他の不動産会社が了承をもらい、複数の二次広告を行なっているためだ。
一次広告の不動産会社、いわゆる元付の業務をメインで行なっている会社が反響数をあげるポイントとしては、まずその物件単体の情報量と精度を徹底的に上げることだ。写真の数は言うまでもなく、パノラマや動画など徹底して掲載し、拡散する。またその物件の強みを見つけ出し、それをコメントしていく。そうすることによって、空室期間を減らしオーナーへの適切な報告が可能になる。
一方で二次広告をメインとしている不動産会社は、情報のスピード、とそれに応じた物件の量(ただ量を増やすのではなく、スピードの早い物量)が命である。先程述べたように二次広告可能な物件においては、他の会社もどんどん掲載される。そこにおいてどれだけの希少性とスピードを速く物件を掲載するかが命となる。逆に言うともし物量を少なくし、スピードが遅い状態で掲載してしまうと、ほかの不動産会社に埋もれてしまい、ほぼ反響を獲得することはできない。
(補足しておくと、こういった反響獲得の業務を突き詰めるよりももっと効率的な客付方法があることも忘れてはならない。たとえば法人顧客や紹介顧客など)

そう考えると、よく元付メインの企業が客付をどんどん行いたいと思った場合、果たしてその獲得のための広い情報量と業務スピードは担保できるだろうか。かなりの業務配分を変えないといけない。
また客付メインの企業が元付メインにシフトする場合、はたして単体の情報精度を上げることは可能だろうか?こちらもひと手間かけなければなかなか上手くいかない。

昨今、様々な不動産業務支援ツールが開発されている。企業としての戦略として、そのツールを導入するだけではなく、軸としての重心の置き方も見据えていかなければならない。