緊張と緩和の極地「ドキュメンタル」

 現在、Amazonプライムで会員無料で配信されている松本人志の「ドキュメンタル」。これがとても面白く、ここ最近のお笑いのコンテンツでは傑作だと思っている。
2016年に1stシーズンが配信され、今4シーズンまで配信されている。
ルールは簡単だ。制限時間内に芸人同士を密室に集め、そこでお互いを笑わせて、最後まで笑わなかったやつが勝ち、というルールだ。ルールのなかで、序盤から積極的に仕掛ける人間もいれば様子見を行う人間もいる。ゲラ(笑い上戸)が不利に働くことが多いが、では、決して彼らが弱いわけではなく、まさにさまざまな心理戦を見ることができる。

個人的には数年前まで会社に通勤する時は、落語を聴き続け、また高校時代には様々な笑いの番組、ビデオを見続けた程笑いが好きだ。
笑いには、人それぞれの好みがあるように思う。いわゆる「ツボ」というやつだ。この他人のツボを見極めることができると、おそらくコミュニケーションは飛躍的に楽になる。しかしこのツボを見極めるのは、非常に難しい。なんとなく、という言葉しか出ない、言語化が難しい領域だからだ。
また、人の笑いの好みは、あまり変化をせずそれがどんどんレベルアップされていくように感じる。たとえば音楽などは、ある時期はパンクにハマっていた人が、数年後はジャズにはまるようにジャンルを超えて嗜好が変わっていくことができる。しかし笑いは、急激な嗜好の変化はない。ドリフでクスりとも笑わない人が、何年後かにバカ殿を見て大爆笑はあまりしないように感じる。
笑いの基本的な構造で、「緊張と緩和」が良くあげられる。張り詰めた空気の中、場違いな事柄が起こると人間は無意識的に笑おうとする。また「予定調和の破壊」もそのひとつだ。自分が予想する事柄と違ったタイミングで予定外の事柄が起きると、笑いが起こる。
脳科学的に解明されていないのかもしれないが、おそらく笑いはある種の防衛本能ではないだろうか。集団心理としての防衛として笑いという行為が生まれるのではないかと思う。ただ、そうは言っても緊張と緩和だけでも、予定調和の破壊だけでも、説明しきれないものが笑いのなかにあり、そこが非常に難しく、興味深いところでもある。

 ちなみに笑いには大きな健康上のメリットがある。

以下は沢井製薬のHPからの抜粋。

あまり知られていませんが、若くて健康な人の体にも1日3000~5000個ものがん細胞が発生しています。
これらのがん細胞や体内に侵入するウイルスなど、体に悪影響を及ぼす物質を退治しているのが、リンパ球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞です。
人間の体内にはNK細胞が50億個もあり、その働きが活発だとがんや感染症にかかりにくくなると言われています。
私たちが笑うと、免疫のコントロール機能をつかさどっている間脳に興奮が伝わり、情報伝達物質の神経ペプチドが活発に生産されます。
“笑い”が発端となって作られた”善玉”の神経ペプチドは、血液やリンパ液を通じて体中に流れ出し、NK細胞の表面に付着し、NK細胞を活性化します。その結果、がん細胞やウイルスなどの病気のもとを次々と攻撃するので、免疫力が高まるというわけです。
逆に、悲しみやストレスなどマイナスの情報を受け取ると、NK細胞の働きは鈍くなり免疫力もパワーダウンしてしまいます。




ということで、笑ったもん勝ち、笑う門には福来る、という言葉はどうやら本当のようだ。1日でも多く笑いながら生きていきたいものだ。